LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

毎月1日号連載:第11回:《集客UPの方程式》【回答エンジン】で変わる集客法①【ベック(ミッテ)取締役 大前友美氏】
これまでの検索は、Google、Yahoo!などネットの検索エンジンが主流でした。今後は、AIツールを活用して結婚式場を検索する、調べる可能性も高まってくるでしょう。AIツールに関してはChatGPTを活用している人は増えていますが、情報収集面ではAIの検索エンジン、言い方を変えると【回答エンジン】の注目も高まっています。Google、Yahoo!検索は、今後古くなっていく可能性も含めて、【回答エンジン】をピックアップします。
【回答エンジン】について、その回答は優秀だと私が感じるのは三つです。一つ目はPerplexity(パープレキシティ・長いため以下はパープレと呼びます)。二つ目はFelo(フェロー)。三つ目がGenspark(ジェンスパーク)です。どれも無料で使えるオープンソースです(一部月間の情報使用制限あり)。
まずGoogle、Yahoo!で、一般ユーザーの検索する手順を考えてみます。ブラウザを開いて、検索窓に調べたいキーワード、例えば「東京 結婚式場」と2 つ、3 つ入力。そこで検索をかけると、結果が大量に出てきます。
数多く並ぶ検索結果の中から、どこに入るか選ぶアクションとなります。もっともそのサイトに欲しい情報があるかどうかは、サイトに入らなければ分かりません。一発で欲しい情報に辿り着かなければ、“直帰”して、別のサイトを選択するという繰り返しになります。ユーザーから見ると「キーワードで検索」→「一覧から選んでまた検索」という2 段階検索の構造です。
一方、1 段階で済むのが【回答エンジン】となります。【回答エンジン】は検索結果に散らばっている情報を集めて回答します。色々なサイトを確認しなくても済み、さらに他にどんなことを聞きたいのかという関連質問のアシストまでしてくれます。またファクトチェックできる機能もあり、信憑性を照らし合わせることもできます。
3 つのツールについて、それぞれ特徴を簡単に比較すると、まずパープレは最も一般の人が使いやすい。画面も見やすく、スマホ対応にも優れています。どこのサイトから引っ張ってきた情報かも明示されます。フェローは、SNSや画像を引っ張ってくる力が強いエンジン。言語だけでなく、可視化能力も高いと言えます。ジェンスパークは式場検索にはあまり向かないものの、YouTubeや動画をしっかりとマークしています。HowTo検索などは、動画で答えてくれます。
似たようなAIの【回答エンジン】でも、それぞれ得意分野や情報ソースは異なります。そこで実際に、ユーザーが気になる会場を調べるとどうなるのかを試してみました。ユーザーの検索動向を考慮し、ゼクシィネットから横浜にある会場の名前だけを引っ張ってきて、それぞれの【回答エンジン】にどんな式場なのか、評判として良いところ、悪いところなどを教えて欲しいという内容で質問しました。
質問の書き方によりアンサーは変わってくるものの、まずパープレでは、76のサイトから調べて引っ張ってきたという総数が明示されます。仮にGoogle検索で対応した場合、そのまとまった情報を得るためには、自ら76のサイトに入って内容を確認しなければならなかったわけです。それを【回答エンジン】が勝手に集めてきてくれ、結果としてまとまっています。
内容としては、式場概要と特徴。施設、プラン、費用などの情報も出てきます。その会場の場合、「353万円(50名の場合)」の予算感、「ハナユメ割」であれば大幅な割引があるといった内容も含めて表示されました。
実際に結婚式をしたカップルの口コミやレポートも集約され、ポジティブなもの以外に、ネガティブな意見も出てきます。会場側からすれば困るわけですが、ユーザーとしては参考になる情報であり、「会場がやや狭い」、「スタッフが不安定らしい」といった内容も見られました。その他に運営会社はどこなのか、総合評価、結婚式をする上でのメリット・デメリットもまとめられています。「式場と控室が離れているため移動の負担が発生する」など、かなり細かい点まで出てきます。
さらに「このことを知りたい人は、他にこんなことにも興味がある」と、関連質問の候補も出してきて、それを開くとさらに答えを展開してくれます。一番上に「A会場のリニューアル内容は具体的に何?」という質問があり、これを開くと結果として「大規模なリニューアルはしていません」と出てきました。椅子を変えただけでもリニューアルとして打ち出していたのが、今では通用しなくなっていることも改めて分かります。(来月に続く)
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月1日号)