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“新連載”経営者がおさえておくべきCRMのポイント~メルマガとは全く異なる「あなたとの対話」メールマーケティング~(テイクアンドギヴ・ニーズ 新規事業開発部長岩田 能氏)

“新連載”経営者がおさえておくべきCRMのポイント~メルマガとは全く異なる「あなたとの対話」メールマーケティング~(テイクアンドギヴ・ニーズ 新規事業開発部長岩田 能氏)

 T&Gの岩田と申します。全6 回の連載で当社の事例を織り交ぜながら、ブライダルとメールマーケティング(以降MM)の相性の良さをご説明していきます。
 婚礼業界では、LTV(生涯顧客価値)やCRM(顧客関係管理)というワードが目立つようになりました。挙式件数や単価の伸びの悩みを抱える中、1 度の婚礼だけでなく記念日に戻ってきてホテルやレストランも利用してほしい等、折角生まれた顧客との関係を起点に、新しい収益を作ることは経営課題の1 つ。T&Gでは一昨年からこの課題に取り組み始め、多機能なCRMシステム、LINEなどの導入を検討した結果MMに出会い、現在展開を注力しています。そしてMMは目論見にマッチしただけでなく、多くの課題を解決し、1 つのインフラとして成長しました。

 最初の課題は、いわゆる記念日レストランへの集客でしたが、この課題の解決は多くのサービスを顧客に周知してもらう可能性を社内に気付かせてくれました。後にウエディングの商品紹介、顧客アンケート、業務効率化=人的コスト削減、社外への送客、営業支援などに領域を拡大していきます。直近1 年では、300万通におよぶメールを1 チームで顧客に配信。それぞれの事例は連載の中で紹介するとして、まずはMMの面白さを説明していきます。
 似た用語に『メルマガ』がありますが、MMとは大きく異なります。メルマガは「みんなへの告知」に対して、MMは「あなたとの対話」です。一般に開封率が20%に届かないと言われる通り、「メルマガは見ない」は誰もが実感するところでしょう。結婚記念日のサービスを半年前に紹介されても忘れてしまいますし、3 日前に案内されても時すでに遅し。しかしブライダル企業には、結婚記念日を始め年齢や居住地域、婚礼単価など、様々な個人情報が蓄積されています。これらを条件に分岐してベストなタイミングでメールを送り分けるのが、MMのセグメント配信です。
 もう1 つ、MMが“マーケティング”と呼ばれる所以は「顧客のアクションを基にしたPDCA」が実現可能な点にあります。例えば「〇月のファミリー向けイベント」を告知するとします。たくさんの社員で協力して封筒やハガキを製作・発送したとして、得られる結果は申し込みがあったか否かだけでしょう。これに対してMMでは、配信成功率、開封率、クリック率、申込み率が計測できます。これによりメールの件名、本文、画像、リンク先のサイト、申し込みページなどのどこで顧客が拒否反応を示したのかを確実に捕捉し、改善に繋げます。人海戦術を駆使してハガキを2 回送る工数は計り知れません。そして、そもそも結果が分かるまでに時間がかかります。しかしMMでは、翌日にはKPIが確認できます。
 開封されなかったのであれば①タイミングのズレ、②件名の魅力不足のいずれかの原因に集約できるので、それらを変更してただちに再送することが可能。以降のKPIも同様です。また、送り先の拒否反応は、未開封率や配信停止率で把握が可能です。要するに、「患部が分かれば対処ができる」というわけです。当社では、式前のお客様で平均40%、式済のお客様でも25%のメール開封率を維持しています。丁寧なデータ計測とチューニングこそが、その秘訣だと考えています。
 当社の最大開封率は76%。毎日決まった条件にヒットしたお客様に向けて配信し続けているメールですが、10人に8 人が開封してくれています。ここから分かることは「メールは見ない」の誤りです。正しくは、「価値あるメールしか見ない」なのです。価値とはメールの中身と魅力的な件名、そしてタイミングです。メルマガとMMの差が伝わる良き事例です。 MMの運用代行サービスの営業の現場で頻繁に聞かれるのが、LINEとの違いです。当社のサービスは運用代行なのでインフラとの比較は難しいのですが、当社がLINEよりもメールを多用する最大の理由は、企業としてお客様のLINEIDを持っていないことが挙げられます。そして、IDにはブライダルならではの個人情報が紐づいていない。後者をサポートする有料の外部サービスもありますが、IDを取得する(=プランナーではなく企業へのお友達登録を新たにお願いしていく)負荷は当社には重すぎました。メールアドレスの取得の方がずっと楽ですから。
 T&Gでは、インフラが先かコンテンツが先かの議論が続いた時期があります。お客様に気軽に連絡し続ける手段と、その中身が両方必要だからです。この議論を終わらせ、中身の開発に邁進させてくれたのは偏にMMだと言って間違いありません。是非ご興味を持って頂けたら幸いです。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、10月1日号)