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新企画第一弾《Yumi KatsuraのDesigner’s Talk》日本のチャペルが最優秀賞受賞【桂由美氏×杉山敦彦氏】

新企画第一弾《Yumi KatsuraのDesigner’s Talk》日本のチャペルが最優秀賞受賞【桂由美氏×杉山敦彦氏】

 名実ともにブライダル業界を代表する、ユミカツラインターナショナル(東京都港区)の桂由美氏。2021年の本紙新企画として、【Yumi KatsuraのDesigner’s Talk】をスタート。ドレスデザインを通じてモノづくりにこだわる桂氏が、ブライダル業界の第一線で活躍しているデザイナー、クリエイターを招き、新たな可能性を探っていく。第1回の今回は、ブライダル施設の空間デザイナーとして、数々の人気施設を生み出してホールデザイン(東京都目黒区)の杉山敦彦社長。世界で評価される意義などを語りあった。

――ドレス、チャペルという欧米由来のものを、日本人がデザインする意義とは。

桂「私は仕事を初めて55年。日本を何とかしたい、日本の良さを世界に広めたいという思いを持ってきました。当時の日本は、着物で神前式をする人が97%であり、ドレスの専門店もありませんでした。そこで女子大生にアンケートを取ったところ、40%の人はドレスがあるのならば着たいということでした。そういう時代にドレスのデザインを始めたわけですが、欧米の真似をやっているだけでなく、いかに日本らしいものをデザインしていくかは常に意識してきました。結婚式のやり方、体格、体型も違うわけですから。ドレスをデザインするときのモットーは日本人であることの感性を生かす。日本のために、日本の女性のためにという思いは今でも大切にしています。」

杉山「チャペルも海外文化です。20年ほど前は、海外からステンドグラスやパイプオルガン、イスなどの本物を持ってくる流れで、そこに魂を入られる人は少なかったですね。そもそもキリスト教徒でもなく、欧米で育ったわけでもないため、私自身どの方向に行くのが正しいのかに迷ったこともあります。そんな時に考えたのが、NY、パリの空間デザイナーに神社やお寺のデザインをやらせてみたらどうなるのか、恐らく、日本人からすれば不躾に感じるだろうけれども、カッコいいものが出来るのではないかと。それならば、キリスト教の人間じゃないからこそのチャペルをデザインしていこうと、吹っ切れました。もちろん日本人が大事にしている自然崇拝、先祖崇拝というポイントはしっかりと残しながらも、東京にいる人間にチャペルをやらせてみたいといつか欧米の人に思わせたいと。」

 

――欧米の模倣をしているだけでは、認められないはずです。

桂「一番フィットしたのは、1981年に初めてアメリカでショーをした時です。NYで3 日間開催されたジャパン・ファッション・フェアに出て欲しいと言われ、せっかく出るからには負けるのは嫌だとの思いで、事前に作品、写真を持って現地に飛びました。主要なデパートのバイヤーとブライダル雑誌の編集長に見てもらったのですが、デザイン感覚も素材もよく、縫い方も丁寧と評価をされた一方、何故カワイイデザインが多いのかと言われました。日本ではカワイイを意識していたのですが、アメリカの褒め言葉はセクシー。このままではアメリカでは難しいとも感じました。アメリカの場合、結婚する花嫁は10代から、30代、40代の人など幅広く、関税や航空運賃を考慮すると、購入できるのは30代以上の人たちであろうと。その層を狙うため、様々な要素を足して完成したのがユミラインです。人魚のような極端な切り替えがあるマーメイドラインとは異なり、ユミラインは着物のお引きずりの後ろ姿を再現したいという発想から生まれました。当時はダイアナ妃の結婚のタイミングで、初めはロマンティックなものが売れたのですが、フィーバーが終わった時に誰もやっていなかったスレンダーなユミラインが一気に注目されました。」

杉山「2017年、私が日本でデザインしたチャペルがイギリスのアワードで最優秀賞を受賞しました。さらにイタリアのアワードでもゴールデンを獲得。キリスト教がガチガチの二つの国で、東京にいる私のデザインしたチャペルが評価されたのは、やはり嬉しかったですね。」

 

――結婚式において、空間デザインとドレスは美しく見せるための重要な要素です。

桂「それは感じます。私は必ず、どこのホテルで結婚式をするのか、チャペル、宴会場がどうかを見せてもらっています。オーダーメイドはもちろんのこと、レンタルを選ぶ際にも空間デザインを意識する必要があります。天井や壁が真っ白な会場もあれば、クラシックなところもある。チャペルも同様で、天井の高さを知ったうえで、ドレス選びも考えていかなければなりません。小さなチャペルでは、新郎がドレスの裾を踏みそうになることもありますから。やはり空間が先にあり、ドレスデザイナーがそこに合わせるという意識は大切です。ところで、杉山さんがデザインしたホテル椿山荘東京の神殿は、自然が見えて素敵ですね。」

杉山「ゼクシィに掲載されている多くの神殿の写真を見ると、ほぼ直線で構成されていました。そこで、全体に曲線を入れるだけで他社と違うものに見え、それだけで勝てるのではないかというところからスタートしました。正面には大きな楕円の窓ガラスを配置し、鏡で窓の外の緑を映し出すことで、まるで椿山荘の庭の中で式を挙げている感覚を表現しています。」

桂「これだけ結婚式場が増えていますから、もっと個性的になるといいなと感じています。その点、この神殿はページをめくった時に、ハッとしますよね。」

杉山「日本らしい、新しいものを生み出すことが必要だと感じます。例えば、オーダーメイド系ウエディングも、結局は5年前、10年前にアメリカで流行ったバーンウエディングの延長だったりします。式場のデザインも、NYの後追いで終わってしまっているのは非常にもったいない。日本らしいものが主流になって欲しいですね。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月1、11日号)