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新たに人材紹介事業をスタート【ノバレーゼ人材開発部長 前野徹志氏×LURRA(ルーラ)吉原愛海氏】

新たに人材紹介事業をスタート【ノバレーゼ人材開発部長 前野徹志氏×LURRA(ルーラ)吉原愛海氏】

 中途採用コストの高騰から、新卒に振り切ろうとするもののうまく採用できていない中小企業。一方、中途の応募をなかなか確保できない大手企業。この両面をカバーするために、ノバレーゼ(東京都中央区)は人材紹介事業をスタートした。年間平均7000人のエントリーがあるノバレーゼの資産を活用した、新たなサービスとは。

新卒・中途で毎年7000人
 ノバレーゼは7月1日、新たに人材紹介事業に参入した。事業を担うのは、同社の100%子会社であるLURRA。これまで旅行事業を展開していたが、有料職業紹介の認可を取得し、正式にブライダルを中心としたサービス業界特化型の人材エージェントとしてのスタートを切った。
 この取り組みは、元ウエディングプランナーで高松の支配人を経験し、現在は浜松店のマネージャーを務めている吉原愛海氏の想いから生まれた。
 「支配人として採用に携わる機会が多かった中で、人材紹介もブライダルと同じように人の人生に深く関わる仕事だと感じたことから、事業企画を練り上げていきました。」(吉原氏)
 事業案を社内の新規事業コンテストに応募。同じタイミングで競合他社の求人難の状況を受けて、人材エージェントのニーズを把握するために人材開発部長の前野徹志氏が動いていた。そこで両者が協力する形で、事業設計を進めていった。
 「事業の仕組みは、ノバレーゼで採用に至らなかった優秀な人材を業界他社やサービス業に紹介していきます。つまりノバレーゼの採用希望者にアプローチすることになるため、ノバレーゼの人事部門の仕切りも私の役割になってきます。」(前野氏)
 最大のポイントはこの部分であり、ノバレーゼの採用に応募してくる求職者にサービスを案内、登録してもらうことで一定数の母集団を形成するところにある。新卒・中途を問わず、ノバレーゼのエントリー数は年間平均約7000人。紹介サービスを希望する求職者を、人材紹介を通じて他社にマッチングしていく。希望者にはキャリア面談や面接練習などの支援も提供する予定で、紹介で内定に至った場合に求人企業から手数料を受け取る成果報酬型となる。
 「もう一本の求職者を集める導線として、LURRA独自に人材募集サイトも立ち上げました。サイトを通じて業界に興味を持っている求職者を幅広く集め、結婚式場やホテル、レストランなどの求人企業とマッチングを図っていきます。特設サイトは7月中旬に開設していて、求人先についてはノバレーゼのグループ会社はもちろん、競合他社も含めて各企業へのアプローチを進めていきます。求人企業開拓においても、実際にこうした人たちが登録しているという明確さから、スムーズに進むでしょう。」(吉原氏)
 売り手市場の人材ビジネスにおいては、何よりも求職者を集めることが最大の障壁である。その点、ノバレーゼのエントリー人材が母集団になることは、同事業の最大の強みだと言える。
 「ノバレーゼの新卒エントリー数は、毎年5000人前後。多い時には8000人に達します。中途に関しても、2000人から3000人。そのうち紹介エージェントにエントリーしてくれるのは半数、実際に面接にまで進むのは10%程度と想定しています。もともとブライダル業界への就職希望を持っている人材ですから、その希望者を他社に紹介していくことができれば、マッチング率も自然と高まっていくと考えています。」(前野氏)
 マッチングした場合の報酬は、30~35%に設定。新卒については90万円前後と、金額固定で対応することも検討している。中途採用のコストがどんどん上がってきている状況で、新卒採用に振り切るという中小企業も増えている。一方で大手企業の場合は基本的には新卒採用を独自で行っているため、採用部門や専門チームを持っていることから、どちらかと言えば中途のニーズがあると考え、その両面をカバーしていく。
 「前段階でノバレーゼの面接を経ているので、人材情報に関しては初回応募よりも情報が揃っているというのも一つのアドバンテージになります。特にノバレーゼの採用活動は、入念に情報を聞いた上で中途・新卒ともに進めているので、ある程度どんな人材かを把握した上で紹介できます。」(吉原氏)
 さらにノバレーゼは全国に拠点を展開しているからこそ、求職も全国から寄せられる。特に地方エリア在住者の就職希望に対しては採用自体厳しい地元企業を紹介することによって、地域マッチングにも柔軟に対応できる構造となっている。
 求職者の紹介事業への登録にについて、案内をするという段階でノバレーゼでは不採用と思われてしまう可能性もある。その点はアプローチを慎重に対応しつつ、課題が発生した場合には改善を図っていく方針だ。
 「興味があればサポートしますという形で、まずは希望の有無を確認するようにしています。希望があれば、LURRA所属の私から連絡が届く流れ。そこで、ノバレーゼとは一線を引いた印象を持ってもらえるようにしています。」(吉原氏)
 新卒に関して、ノバレーゼのリクルーターと信頼関係も構築されているのは大きい。仮にノバレーゼで不採用だったとしても、スムーズにグループ各社を紹介することもエージェント機能によって可能となる。グループ内への対応により、求職者の違和感も解消していく。
 求人については、結婚式場運営企業、ホテル、レストランといったサービス業種以外に、パートナー企業も想定している。パートナー企業の人材不足が顕著になっている中、結婚式に関わるプランナー以外の職種への就職を希望する人材も一定数存在しているため、マッチング可能性も高まる。さらにグループ各社がパートナーの立場でもあり、グループ内の求人ニーズを基に、人材募集を出来るのは追い風だ。こうした対応によって、初年度は30人のマッチングを目標としている。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、8月1・11日合併号)