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“弱点”はチームで補完【創和プロジェクト支配人 橋詰佳奈氏】

“弱点”はチームで補完【創和プロジェクト支配人 橋詰佳奈氏】

 北海道で式場運営のほか、ドレス事業なども展開する創和プロジェクト(札幌市中央区)。現在3つの自社施設を統括で見ているのが、支配人の橋詰佳奈さんだ。新卒で入社したゲストハウスでの経験を活かし、転職で入社を決意。オリジナルウエディングをうたう同社で感じた、ヒアリングの特徴とその面白さとは。また、キャリアアップを通じて見えてきたのは、チームで成長していく重要性。“相棒”と語る仲間とのコミュニケーションのポイントなど、話を聞いた

「この仕事を一生続ける」
 「先輩の助言もあって、大学在学中は1年の頃から様々なインターンシップに参加していました。その際にインターンを企画する学生団体に声をかけてもらい、イベントづくりに挑戦。『このタイミングで感情を盛り上げたい』と思っていたシーンで涙を浮かべる参加者などを見た時に、やりがいを感じるようになりました。それを機にウエディングプランナーに興味を持ち、大学に通いながらダブルスクールでブライダル業界を目指しました。新卒では全国展開をしているゲストハウスに入社。北関東の施設に配属となりました。」
 「その会社でプランナーデビューしたものの、うまく立ち回れない時もあり、何度も退職が頭をよぎりました。そんななか経験したのが東日本大震災。当時勤めていた会場も被災し、その中で実施した結婚式で、親戚同士抱擁を交わすシーンを見る機会がありました。震災以降会えていなかった人たちが、結婚式を通じてようやく顔を合わせられた。ウエディングの仕事は、大切な人同士のかけがえのない時間を生み出せるものだと強く感じ、『この素晴らしい仕事を一生続けよう』と、その時心に決めました。ゆくゆくは地元の北海道に戻りたいとの想いもあったため、5年ほど勤務した後、創和プロジェクトに転職しました。」
 「そもそも当社に入社を決めたのは、北海道版のゼクシィを広げたところ、〝異様〞な雰囲気の式場だと思ったから(笑)。チャペルやバンケットのよくある宣材写真とは異なり、結婚式のリアルな雰囲気の伝わる1枚が大きく掲載されていたのです。当時は大々的に人材募集をしていなかったものの、自分を売り込もうと提案書を作成。送ってみたところ面接に繋がり、入社に至りました。」
〝雑談〞から紐解いていく
 「当社のスタイルとして、基本的に打合せは5〜6回程度。初回は〝雑談〞です。というのも、『結婚式をどんな1日にしたいですか?何を伝えたいですか?』と単刀直入に聞いても、スラスラと答えが出てくるケースは稀。会話を通じて多くの〝材料〞を引き出していくイメージで、投げかける質問は転職以降多く用意するようになりました。『人生の分岐点はどこだと思いますか?』、『自分にとっての青春はいつでしたか?』といったように、その質問から大切な人を紐解いていく。これは転職以降の自分にとって新しい挑戦で、同時にプランニングの楽しさを改めて感じる機会にもなりました。」
 「もともと現場は大好きなので、キャリアアップに関しては正直頭にはほとんどありませんでした。チーフになって改めて感じたのは、メンバーにはそれぞれの強みがあり、誰かの苦手部分はチームで補っていく重要性。それは私自身も〝完璧〞ではなく、周りのメンバーがフォローしてくれることも多いからこそ、気付けたことでもありました。現在は運営する3店舗を統括で見る支配人となっていますが、各店舗の責任者とは密なコミュニケーションを心掛けています。例えば、『Aさんは今こういう状況で、こんな風に声を掛けた。あわせてフォローをしてもらえたら!』など、情報は常に共有。メンバーの働く環境を整えています。『強いチーム作りは〝2番手〞が重要』とよく耳にしますが、各店舗の責任者は私にとって大切な〝相棒〞。心強い存在です。」
数字の面からも考える
 「支配人になってよかったと感じるのは、数字の面からも話ができるようになったこと。現場のみだった当時は、『こういう風にした方が…』と思うことがあっても、P/Lを見るようになった今、『だからあの時、会社はこういう判断をしたんだ』と感じることもあります。異なる角度から事業を見られるようになったのは、キャリアアップをしたからこそ。自分にとっても成長と感じています。」
 「現在当社は、自社会場以外でのプロデュースにも注力したいと考えています。7月末には改装を終えた北海道庁旧本庁舎にて、結婚式をプロデュースしました。『様々なフィールドで活躍したい』というスタッフも今後は増えてくるでしょうから、そうした若手の夢を叶えられるような体制を整えてあげたいと感じています。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、8月21日号)