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ローカル会場【勝利の方程式】成果を左右するマーケティング格差【ティール株式会社 代表取締役 工藤 慎也氏】

ローカル会場【勝利の方程式】成果を左右するマーケティング格差【ティール株式会社 代表取締役 工藤 慎也氏】

新たに「ローカル会場 勝利の方程式」というテーマで連載をスタートすることになりました。現場の実状をベースにこれからの方向性について掘り下げていき、少しでもお役に立てることができましたら幸いです。
前回までの連載では、地方ブライダル市場の実態に即して、アナログ施策の再評価やゼクシィの活用、紹介営業、紙とWEBを跨いだ情報設計、エージェント連携など「集客の足元」に焦点を当ててきました。その中で、地方は都市部に比べメディアパワーが限られる分、独自の集客手段を模索しており、その試行錯誤は全国の会場にとって今後の羅針盤になる可能性を指摘してきました。実際に2024年2 月のゼクシィリニューアル以降、費用対効果が悪化し、ゼクシィ以外の様々な集客手法を試したものの期待した成果を得られず、結果として、集客の頭打ち感を打破するためにどうしたらいいのかという問合せも増えています。
来館数の動きを見ると2025年6 月時点で東名阪エリアは前年比85%前後、地方は70%と、コロナ禍以降で最も厳しい水準。8 月も東名阪100%に対し、地方は60~90%と回復にばらつきが見られます。こうした中で、現場の反応は二極化しています。焦って短期施策を乱発する会場のある一方で、3 ~ 5年後を見据えたブランド強化や新商品開発に取り組む会場も現れています。成果の大小以前に、いま明確になりつつあるのは「マーケティング格差」。単なる広告費の多寡ではなく、マーケティング知識や現状認識の差が成果を左右するフェーズに入っています。また、前提となる仕組みや運用体制の整っていない会場が増え、例えば試食会を開催しても実施日が限られる、人員を確保できず新規営業枠が限られている等、一見「打ち手」は存在していても、集客以前に「営業できる体制」や「魅力を伝える準備」が崩れています。
市場全体の縮小のなか、競合との戦い方そのものを見直す必要があります。広告やキャンペーンに頼るだけでなく、「商品」「体験」「接客」「地域との関係性」といった基盤の質を高めることこそ、最も確実に成果へとつながります。なかでも紹介や列席者からのリピートに代表される“信頼を土壌とした集客”は、受注をゴールではなくスタートとして捉える発想へとつながり、婚礼をきっかけに顧客価値の向上や従業員満足を循環させていくカスタマーサクセス型のモデルです。この循環の考え方を軸にすれば、婚礼を通じて地域や人とのつながりが広がり、新たな需要を生み出す好循環を生みます。苦しい時期だからこそ、広告やSNS施策だけにとらわれず、持続可能なビジネスモデルの確立を念頭に、経営の足元を整えることが求められます。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、10月11日号)