LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

パートナーの仕事を徹底的に知る機会【VIVACEst 代表 衣川雅代氏】
VIVACEst(東京都目黒区)の代表・衣川雅代氏は、新規接客において『モノ売り』ではなく『コト売り』、『人売り』の要素が求められている傾向を踏まえ、【スタンス形成研修】を提供している。これはキッチン(パティシェ含む)、フローリスト、ドレススタイリスト、美容、フォトグラファーなど会場に所属しているプロスタッフ、パートナーの仕事を知る研修で、新規接客時のトークに活かして付加価値を付けていくことを目的としている。
「複数回の新規接客研修の一つに入れたところ効果が出たため、現在は別枠のプログラムとしています。新規接客時の見積もりに沢山の項目が並んでいるものの、その価格は消費者の一般的なイメージとは乖離しています。例えば3 万円のブーケも、一般の花屋で同じ価格を出せば相当豪華なものになるわけです。なんでこんなに高いのかと違和感を抱く新郎新婦に、その理由を解き明かして説明できなければ、付加価値を提供したとは言えません。」(衣川氏)
実際、花の価格に対する付加価値をプランナーに聞いてみても、一組一組打合せするから、沢山プランを用意しているから、持ち帰れるからなど、それぞれバラバラで、新郎新婦の納得感を得ることは難しい。そこでフラワーに携わるプロのスタッフを研修に招いて、どういうプロセスで当日を迎えているのか、どんなことに気を配って日々仕事をしているのかを説明してもらう機会としている。
「火曜、水曜日に市場で仕入る時、どういう観点で花を選んでいるのか。当日に最高の状態となるよう、開花調整はどのようにしているのか。卓上装花一つ作るのに、何分かかっているか。結婚式の場合、品質保持のために1 本ずつ生花にテープを巻いているなど、実は相当の手間暇がかかっています。ブーケ3 万円に対し、そこまでこだわっているからこそ料金を払う価値があると語れるようにしなければなりません。」(衣川氏)
花のみならず、特に人の関わる料理や衣裳、美容、映像などセクションごとに、直接担当スタッフによる話を研修で展開していく。そのファシリテーションを外部スタッフである衣川氏が務めていくのは、それぞれの価値を客観的視点で評価できるという点で大きな意味を持つ。料理一つとっても、会場ならではのアピールすべきポイントは異なり、そこに価値を見出して他にはないトークに繋げなければならない。そこで衣川氏は研修前にプロスタッフ、各パートナーと打合せをしながら、ポイントを見出していく。取引先である立場から、パートナー側から話しにくいことも、衣川氏が入ることでスムーズに。そこで学んだことを、新規接客のロープレにも繋げている。
「プロスタッフ、パートナーから聞いた話は、ムービーなどのツールにしてアピールしてもあまり意味はないと考えています。生身の人が関わっているこだわりだからこそ、生身のプランナーの言葉として話さなければ100%伝わらないはず。プランナーにとっても、自分たちで売らなければこうした人たちの仕事もなくなるという強い想いを持てます。新規接客だけでなく、持込み対策としても、きちんと付加価値を伝えていかなければなりません。」(衣川氏)
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、11月21日号)

