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キーマンに聞く

アルムナイ採用でスキルのある退職者を再雇用【エスクリ 代表取締役社長CEO 渋谷守浩氏】
人材不足の課題を抱えるサービス業だが、エスクリ(東京都中央区)は退職者を再雇用する『アルムナイ採用』にいち早く乗り出している。採用コストの削減はもちろん、即戦力として活躍してくれるメリットも大きい。2021年にリリースしたオンラインご祝儀サービスについては、昨年は利用累計1億5000万円を突破するなど利用件数も増加。12月にはリゾートウエディングのグッドラック・コーポレーションとの業務提携を発表するなど、様々な新しい取り組みを通じて業績回復を目指している。代表取締役社長CEO・渋谷守浩氏に、企業横断でブライダル業界の活性化を考えていく重要性も聞いた。
通期業績は黒字を予測
――昨年11月には2023年3 月期第2 四半期の業績を発表。ブライダルの売上は前年同期比+9.9%となりました。通期の業績予測では、累計ベースで黒字転換を視野に入れています。
渋谷「2022年はブライダル業界全体でも、回復の兆しが見え始めた1 年だったと。特に1 チャペル1 バンケットの貸切型ゲストハウスを運営する企業は戻りも早かったですが、ここにきて当社もその流れに追いついてきたという状況です。列席者数は、コロナ前と比較して平均でマイナス10〜15%程度。単価に関しては90%を超える水準にまで回復しています。」
――2021年3 月にリリースしたオンラインでのご祝儀決済システムは、昨年5 月に利用累計額が5000万円を突破。11月には1 億5000万円になるなど、サービスも浸透しています。
渋谷「こうしたテクノロジーを掛け合わせた仕組みは、より多くの人に多様なウエディングサービスを届けると同時に、人数の戻りも遅い中で、単価アップに繋がる取り組みの1 つと捉えています。『アニクリWEBご祝儀』は当社独自の結婚式準備サイト『アニクリ』に機能を追加したもので、オンライン上でご祝儀の受け渡しをできるのがポイント。ご祝儀というのは日本の結婚式において慣習・文化となっていますが、今や給料やお年玉のキャッシュレス化もニュースになる時代です。ご祝儀袋を買いに行く、銀行に行って新札を準備する、筆ペンで名前を書くなど、そうしたことをやはり“手間”と感じてしまう人がいるのも事実。そうしたゲストの“不便さ”の解消にもなっています。オンラインご祝儀サービスを導入している施行のうち、利用者は10〜20%を占めています。実際にゲストからは、『使いやすくて便利』との声も多く、今後この割合はさらに増えていくでしょう。現地参列者だけではなく、遠方のため、小さい子どもがいるために参加できない友人・親族なども、もちろん利用可能。『今日は参加できなくてごめんね』との言葉と一緒に、お祝いを贈りたいということから、5000円、1 万円などを用意するケースも見られています。気持ちとはいえ、日本の結婚式はご祝儀ありきの予算になっているのも事実ですから。仮に少しでも多くご祝儀をもらえるようになっていけば、料理をグレードアップする、装花にもっとこだわるなど業界にとってもプラスになるはず。ハネムーンを豪華にすることなどの可能性も出てきますし、関連産業も含めて様々なメリットが生まれると考えています。」
離れて気付く業界の魅力
――人材不足が深刻化するなか、特に中途採用の厳しさを実感する企業も増えています。
渋谷「2020年のコロナの急速な蔓延以降、やはりモチベーションの低下から当社を離れてしまっていったスタッフもいました。一方で、最近ではもともと当社に在籍していたスタッフが『エスクリで再挑戦したい』と戻ってきてくれるケースも増えています。こうした『アルムナイ採用』は、多い時だと月に3 名にのぼります。退職する際に直接挨拶に来てくれる子も多いのですが、その際は『ステップアップのために他の業界を見てみたい』というケースも多く、『いつでも戻ってこい!』と私自身笑顔で送り出しています。退職後も同期や配属先のスタッフとは良好な関係を続けているようで、連絡を取り合っている際に『エスクリに戻りたい』、『じゃあ戻ってきたら?一緒にまた働こうよ!』という流れになっています。実際に復帰したスタッフは、バツの悪そうな顔で『社長、戻りました』と私の所に挨拶に来ていますね(笑)。業界や会社を離れたからこそ、結婚式の素晴らしさやエスクリでの仕事の面白さなどに改めて気付いてくれるようで、それはやっぱり嬉しいこと。こちらとしてもエスクリを知っている、かつスキルのあるスタッフが戻ってきてくれることは価値のあることですから。アルムナイはマネジメント層と現場スタッフ、男女比も半々程度で、採用コストを削減できるという経営的な側面からも、効果は大きいわけです。新卒採用に関しては、2022年度は50名で、2023年度は約90名を採用予定。コロナ前は例年100名程度を採用していたので、2024年度はそれくらいの水準まで戻し、会社、ひいては業界をさらに活気付けていけたらと考えています。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月1・11日新春特大号)

