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みんなのW×ブライダル産業新聞合同企画 [連続企画第4回「本番・スタッフ③」]ヘアメイクへの満足度 それまでの不満を挽回する役割に【みんなのウェディング レビューアナリスト 黒須 裕子氏】

みんなのW×ブライダル産業新聞合同企画 [連続企画第4回「本番・スタッフ③」]ヘアメイクへの満足度 それまでの不満を挽回する役割に【みんなのウェディング レビューアナリスト 黒須 裕子氏】

ユーザーからの口コミが会場のCSを測る基準とするならば、どのような視点でチェックしていくべきか。くふうウェディング(東京都中央区)の『みんなのウェディング』と本紙合同でそれぞれのカテゴリーの傾向と分析をまとめていく連載企画。今回も【本番(結婚式を実施した人)・スタッフ】を対象としつつ、プランナー以外のスタッフ評価にスポットを当てた。キャプテン・サービス、カメラマン、介添えなど、当日結婚式施行を担うスタッフの課題とは。

丁寧な対応で安心感を

結婚式を実施した新郎新婦によるプランナー以外のスタッフに対する口コミに関して、頻出したワードを調べると【スタッフ】が数多く登場。内容的にはプランナーも含まれながら、配膳スタッフに関する記述が目立った。特定の登場人物のワードとしては、【ヘアメイク】、【カメラマン】、【司会者】と続く。

「出現回数のシェアを調べた結果が上記の表で、プランナーも含まれるだろうスタッフが26.4%に対し、ヘアメイク14.2%、カメラマン10.2%、司会者6.7%。その他には介添えも5.5%になっています。全体評価の低かった4 点未満と高評価の4 点以上で比較しても、ワードの頻出度合いはほぼ変わりありません。ポジティブ、ネガティブどちらであっても、スタッフが評価される項目の軸になっていると考えられます。」(プロダクト企画部部長・竹中達郎氏)

スタッフに関するポジティブな声は、『対応が丁寧で親切』といった投稿が中心。ヘアメイクについては、『いい雰囲気に仕上げてくれた』、『センスが良かった』。カメラマンは『たくさん写真を撮ってもらった』、『カットを提案してくれた』。丁寧な対応で安心感を与えているスタッフは、高評価となっている。

「ヘアメイクに関しては、前提としてネガティブコメントはかなり少なかったです。カメラマンは、『指示書を書いていたのに撮り忘れが多かった』、『意図しない撮影をされた』。その他には『司会者の声が聞きづらかった』。サービススタッフには、『対応が悪い』という声も出ていて、新郎新婦からの投稿以上に、招待客の口コミに一層色濃く出ています。」(竹中氏)

4 点未満の低評価だった人でもヘアメイクにはポジティブコメントが多かったということは、それ以外に不満を感じながら当日ヘアメイクの対応によって多少なりとも緩和されているとも考えられる。特に低評価の場合、プランナーに対してのネガティブ投稿も多いため、それを挽回する当日のスタッフの役割の重要性がうかがい知れる。

 

時間を守るため高圧的に

定性的な実際の投稿を見ると、ヘアメイクに対しては、『似合っている』、『綺麗です』といった言葉をかけて欲しいと口コミで書いているユーザーも多い。緊張感を和らげつつ気持ちのテンションを上げるという部分が求められているのだろう。

「カメラマン、当日のキャプテン、誘導スタッフなどに共通して出てくる内容としては、高圧的な態度に対す苦言。カメラマンの場合は、ゲストや子供に対する指示の仕方がきついと書かれている投稿は目立ちます。キャプテン、現場スタッフ、誘導スタッフは、やはり当日の披露宴のスケジュールのタイトさに関連していると考えられます。『急かされた』、『時間を巻かれた』という口コミが要所要所に書かれていますから。予定通りの時間で終わらせるために当日の余裕がなくなり、結果として高圧的な態度を見せてしまっているという印象です」(レビューアナリスト・黒須裕子氏)

これは結婚式の時間設定という根本的な仕組みの問題で、急かせて高圧的な態度を見せてしまうのは無意識の可能性もある。気持ちに余裕がなくなれば、当日の雰囲気を高めることに配慮もできず、例えば配膳スタッフを大声で怒鳴りつけることも起きている。『華やかな気持ちを大切にしたかったのに、それで一気に冷めてしまった』という口コミも書かれている。

介添えについては、新郎新婦からすれば本番中に伝えたいことを伝えられる身近に存在するはずの担当であるものの、距離感の問題に対する指摘はある。例えば写真に入らないよう常に遠くにいて、その場で何かを伝えたくても伝えられなかったという投稿は多い。その他にはドレスの調整の部分がうまくいかず、結局ゲストに指摘され気付いたという口コミもあった。

「結婚式当日についてのスタッフの項目に限らない投稿として、家族、親族の着付けに対するネガティブな内容も特に目立っています。プランナーにあらかじめ親族の着付けを頼んでいたのに、連携されていなくて忘れられていたのか、着替えの部屋で祖父が一時間も待たされていたといった内容もあります。他にもお母さんの留袖の半襟が縫われていなかったため、それを縫いに行っいる時間中、下着姿で待たされたなど。ガウンなどを着て待っていてもらえばいいはずであり、配慮のない対応をしていないかの注意は必要でしょう。」(黒須氏)

本番を行った新郎新婦のスタッフに対する評価は、招待客から後々聞かされてということも多く、招待客のクチコミともリンクしてくる。配膳が遅い、ドリンクを注文しても来ない、料理が冷めていたなどは、招待客からの指摘によって新郎新婦も気づき低評価を下している。新郎新婦にとっては招待している立場である以上、招待客への配慮は万全に行って欲しいと考えるのは当然であるからこそ、後々こうしたことを聞かされると厳しい投稿に繋がっていく。

同じように新郎新婦は当日気付かないものの、ゲストをアテンドするスタッフのアナウンス不足も課題だ。何も言われずに連れていかれ、待たされる。何の時間か分からずに待たされれば、ネガティブな気持ちは膨らんでいく。他には送迎バスの運転が荒かったなど、会場の中だけを見ていてもなかなか把握できない課題も出てくる。

 

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月11日号)