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みんなのW×ブライダル産業新聞合同企画 [連続企画第3回「本番・スタッフ②」]プランナー評価を左右 当日スタッフとの連携【みんなのウェディング レビューアナリスト 黒須 裕子氏】

みんなのW×ブライダル産業新聞合同企画 [連続企画第3回「本番・スタッフ②」]プランナー評価を左右 当日スタッフとの連携【みんなのウェディング レビューアナリスト 黒須 裕子氏】

ユーザーからの口コミを会場のCSを測る基準とするならば、どのような視点でチェックしていくべきか。この疑問を解決するために、くふうウェディング(東京都中央区)の【みんなのウェディング】と本紙合同でそれぞれのカテゴリーの傾向と分析をまとめていく第2回のテーマは、【本番(結婚式を実施した人)・スタッフ】。スタッフは会場に所属する全員が対象であるのに対し、今回は結婚式場選択にも大きなウェートを占めるプランナー評価の傾向とユーザーの不満点を探っていく。

ユーザーからの口コミをCSを測る基準とするならば、どのような視点でチェックしていくべきか。この疑問を解決するために、くふうウェディング(東京都中央区)の【みんなのウェディング】と本紙合同でそれぞれのカテゴリーの傾向と分析をまとめていく第3回は、前回に引き続き【本番(結婚式を実施した人)・スタッフ】。この項目が総合評価にも大きく影響する中、今回は企業別の点数を抽出。本来は下見から本番に向けて満足度が高まってくるべきなのに対し、評価の減少している企業の要因を検証した。

浮かび上がる分業制の課題

上記は企業ごとに投稿されているスタッフ項目の口コミ評価について、本番と下見の点数の差をまとめた表。 A~C社はゲストハウス企業、D社はラグジュアリーホテル、E社はレストランだ。

「本来は本番に向けて点数が上昇するのは当たり前であるのに対し、企業別のスタッフに対する評価を見てみると、減少しているケースも見られます。マイナス0.13と最も下がっているA社の場合、下見から本番にかけて費用項目でもマイナス0.08になっています。また同じく下がっているB社ですが、点数自体を比較すると本番では4.70となっていて、A社の4.23よりも高い数値です。B社も下がっているとは言え、元の水準が高いわけです。」(プロダクト企画部部長・竹中達郎氏)

スタッフ項目と費用項目の関連性については、分業制の仕組みに対する課題が考えられる。下見では新規セールススタッフの説明した費用にも納得して契約するものの、打合せが進んでいくとその料金では満足のいくものにはならないことが分かり、費用はどんどん上昇。しかも分業制であれば新規時と打合せのスタッフが異なるため、説明内容に違いも生まれやすい。結果として費用、スタッフの両項目で評価は落ちていく。

一方、D社はラグジュアリーホテルであるが、スタッフ項目は1.02の上昇、費用項目についても0.63も高まっている。当初の費用感として高いという印象を感じてはいるものの、本番に向けて満足できる費用だったとなり、その結果両項目で上昇していると考えられる。

定性的な側面の口コミ内容はどうか。これも企業によって大きな差が出てくる。

「昨年一年間で上がってきた口コミで、評価の最も低い『1 』に近いものに絞ると、例えばA社は大きく二つ、費用、スタッフに対する不満に集約されます。表には掲載していない別のゲストハウス企業の場合、費用に対する不満度はそれほどなく、スタッフや当日の演出のちょっとした連携ミスに対する不満が見られました。企業によって、不満度に対する項目の度合いは分かれてきます。」(レビューアナリスト・黒須裕子氏)

スタッフの中でもプランナーに焦点を当てると、当日のスタッフとの連携ミスを指摘する投稿が目立つ。特に本番当日のミスの部分でよく挙がるのが、お金のやり取りだ。

「お車代の受け渡しの間違いに関する投稿は多く、その一例としては、本来渡さなければいけない人に渡らず、別の人に渡してしまったと。受付担当も現場のスタッフから指示をされ渡しますが、つまり事前に打合せをしていたプランナーからそのスタッフにキチンと連携されてないわけです。後で発覚して、新郎新婦としても受付を頼んだ人を怪しむような質問をしなければならず失礼になり、本来渡すべき人にお車代をもう1 回出さなければならない。後でプランナーに責任を問いただすと、うちは悪くないと言われる、ただ謝るだけなど。お金の部分に関する配慮は慎重を期すべき事項であるにも関わらず、こういった対応が少なからず発生しているようです。」(黒須氏)

それ以外のお金に関する指摘については、ご祝儀の管理に対するものも多いという。ロッカーを用意していても、セキュリティ上不安があった。ご祝儀の入った荷物をまとめて置いておくスペースのドアが、開けっぱなしにされていたなど。ご祝儀を盗まれたといったトラブルに発展した投稿はなかったものの、会場側としては信用を失うような杜撰な管理体制に対する厳しい指摘はある。

当日顔を出すことも大切

「連携ミスについては、演出に対する投稿も目立ちました。プランナーからは事前に練習するから大丈夫と言われていたのに、結局は当日リハもなく、スタッフからの指示も不明瞭なまま、よく分からない状態で進んでいった。挙式や披露宴の入場なども、新郎新婦は初めてのことだからこそ、もっと練習させてもらえると思っています。それなのに、プランナーからは大丈夫ですよと言われながら現場ではキチンと対応されていない、さらにプランナーに依頼していたことも当日現場に共有されていないためミスになったなど。こうした連携ミスについても、やはりスタッフ評価の低い会場では多い傾向です。これは会社として、プランナーが聞き取った内容、説明したことを当日の現場に落とし込んでいく仕組みができていないのではと思われます。」(黒須氏)

新規から打合せ、打合せから当日と分業制で担当が変更するのは仕方ないとは言え、それならばしっかりと情報共有し連携を徹底しておくのは当然の義務である。これを怠ると、新郎新婦にその場凌ぎの言い逃れをしているのではという悪印象を与えてしまい、結果としてスタッフに対する評価は本番に向けどんどん落ちていく。

もう一つ多いのは、当日にプランナーが全く顔を出さなかったという指摘だ。当日担当プランナーに会えず寂しかったというような書き方もあれば、仲良くやってきたからこそ当日来てほしかったという思いで書く人もいる。前述した連携ミスに関するクレームも、当日に全く顔を出していないことから事後対応しかできなくなる。

「ここでポイントなのは、もし当日現場に入れなかったとしても、披露宴の最後や式途中でもいいから、とにかく時間の合間に顔を出すこと。新郎新婦の中には、顔を出してくれて本当に嬉しかったと書いてくれている人もいますから。どんなに忙しくても、控え室に少し顔を出して挨拶をするだけで、一気に雰囲気も変わります。」(黒須氏)

 

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、3月11日号)