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【匠のWAZA】シェフからサービスに転身(シェ松尾 青山サロン 支配人 小林雅彦氏)

【匠のWAZA】シェフからサービスに転身(シェ松尾 青山サロン 支配人 小林雅彦氏)

 フランス料理店「シェ松尾 青山サロン」(東京都渋谷区)の支配人・小林雅彦氏は、1981年にレストラン業界に入った。1996年に同サロンに副支配人として入社。2004年には支配人となり、2010年、シェ松尾 天王洲倶楽部支配人を経て、2014年に同店に戻ってきた経歴を持つ。

――当初は料理人としてキャリアをスタートし、後にギャルソンに転身したそうですね。
「食べることが好きで、自分で美味しいものが作りたかったのでシェフを志しました。とは言え、当時から顧客と話すことが楽しくて、勤務していた港区のレストランのオープンキッチンで来店した人とよく談笑していました。15年後、店のサービススタッフが退職、代わりが見つかるまで一時的にホールに出ましたが、直接顧客と対話し、自分の接客で売上が変わる仕事にやりがいを感じ、天職だと考えるように。そのままサービスマンとしてのキャリアを重ねていきました。シェフが作った料理を運び『美味しい』と言われるいいところ取りの仕事です。『小林さんの顔が見たいから予約した』と言ってくれる固定客も数多くできました。」

――シェフとしての経験が、サービスにも役に立っているとか。
「顧客に調理法を訊ねられた時も分かりやすく回答できます。アメリケーヌソースひとつでも、通常は時間をかけてオマール海老の頭を煮出して作りますが、当店では強火で短時間で仕上げます。その方が、臭みが出ずうま味だけを抽出できるからです。また、料理を説明する際は、長すぎず、かつ美味しく聞こえるように紹介します。例えばコンソメスープは、『旬の新玉ねぎの甘味とムール貝のだし汁がたっぷり入っています』と言葉を重ねてより具体的なイメージを想起させています。」
――現在は支配人として営業・企画にも携わっています。
「今年の2月には自分の趣味でもある『古典落語とフランス料理』を開催しました。柳家喬太郎さんの落語と当店の料理が1万円で楽しめる企画です。好評につき、今後も開催したいと思っています。基本的に現場は副支配人以下に任せていますが、VIPの接客等がある場合は休日でも挨拶対応をしています。」