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キーマンに聞く

《TOPICS》ビブグルマン認定のバル運営【ベック ミッテ事業部 コンサルティング部部長 執行役員 山中 扇氏】  

《TOPICS》ビブグルマン認定のバル運営【ベック ミッテ事業部 コンサルティング部部長 執行役員 山中 扇氏】  

レストランウエディングを展開するベック(大阪市中央区)のミッテ事業部は7月、大阪・中之島でスペインバル【Donostia(ドノスティア)】の運営を開始した。8月にはブーランジェリー事業として、天王寺区内にパン屋【Comfyet(コンフィエ)】をオープン。コンサル事業で培ってきたノウハウなどを武器に、どちらも好調なスタートダッシュである。新事業開始の背景、今後の展開などを執行役員兼コンサル部部長の山中扇氏に聞いた。

スタッフの成長の機会に

―― 7 月1 日からスタートしたスペインバル『ドノスティア』ですが、開業の経緯は。

山中「当社はレストランウエディングを手掛ける自社施設の他に、式場向けにコンサルも展開しています。コロナ明け以降クライアントから、『婚礼のマーケットがシュリンクしていく中で、別の収益事業を考えていきたい』という相談を多く受けるようになりました。改めて考えてみると、婚礼事業者は2 万円近い料理を提供し、数百万円の結婚式をプロデュースできる。このスキルは、飲食事業にも十分活かせるわけです。クライアント先に飲食事業のコンサルサービスを展開するのであれば、まずはミッテで成功事例を作っていきたいと。自社店舗でトライアンドエラーができますから、成功部分だけを抽出し、そのノウハウを提供していきたいとの考えです。もう1 つの理由は、人材面。婚礼・宴会だけでなく、こうした一般レストラン部門を設けることで、スタッフにとっても新たな活躍の場が増えるわけです。複数業態を用意することで、キッチンスタッフの採用においてプラスに働く可能性もあると見込んでいます。」

 

――今回は運営受託のスタイルを取っています。

山中「『ドノスティア』は当社で働いていた川島シェフが独立し、オープンした店。川島シェフはミシュラン二つ星を獲得したレストランも経営していて、この店もカジュアル部門・ビブグルマン認定店舗として人気を誇っていました。一方で、コロナ以降人材不足の課題などが出てしまい、一旦閉店。その運営を7 月から当社で引き継いだ流れとなっています。食べログの評価も非常に高く、現時点で3.6以上となっています。」

 

――星付きレストランのシェフ監修メニューですが、中には1000円以内に収まるものもあります。

山中「座席数は約20席で、客単価は4000円~5000円を想定。主な年齢層は30代後半~40代、女性が70~80%を占めています。人気&定番料理は常時用意していますが、メニューの約1 / 3 は月に1 度リニューアルし、リピーター獲得にも繋げています。メニューは引き続き川島シェフの監修で、キッチンスタッフにとっても大きな成長に繋がっています。コロナ以降3 年間クローズしていましたから、当初の想定では1 年で集客を軌道に乗せようと思っていたところ、もともとの認知度もあって初月から連日盛況です。コンサル事業で培ってきたWeb広告の配信ノウハウなども強みに、売上は月間で約350~400万円を想定、年間5000万円を目指していきます。数十億規模の企業からするとそこまでインパクトのある数字ではないかもしれませんが、収益性をはじめスタッフにどんなプラスの影響があるのかなども含め、当社の事例はクライアント先に全て開示していきます。」

 

最新の焼成機器も導入

―― 8 月1 日、大阪・真田山近くにオープンしたブーランジェリーの『コンフィエ』ですが、パン事業に着手した背景は。

山中「ブライダル事業で一生に一度の幸せをサポートするのはもちろんのこと、『より多くの人の日常の幸せも創りたい』との想いをかねてから持っていて、日常食として欠かせないパン事業の開始を検討し始めました。もう1 つの理由は、コンサル先の施設におけるパンの課題。『人材不足によって自社で作れない。どこかいい提供先を紹介してほしい』という声も多く聞いていて、だったら当社でやってみようと。事業開始にあたり、店内には最新の焼成機器も取り入れました。」

 

――住宅地の店舗ですが、好調なスタートを切りました。

山中「パンをお得に購入できるオープニングキャンペーンを実施したところ、開店前から100人近く並ぶ日もあるなど、幸先のいいスタートとなりました。施設への卸も含めて、年間売上約1 億円規模の事業にゆくゆくは成長させていきます。」

 

――今後はBtoBも更に強化していくそうですね。

山中「単にパンの卸というよりも、イメージとしてはブーランジェリー事業の請負。各施設のシェフと打合せを重ね、料理に合うオーダーメイドのパンを一緒に考え、冷凍で納品する流れです。最終仕上げのみ各施設で行い、作り立てのパンと遜色ない味を顧客に提供できます。」

 

――ホテルの朝食、料飲事業のほか、ウエディングにおいてもパンは重要との考えです。

山中「婚礼メニューの中でも、パンはクチコミに書かれやすい1 つ。ゲスト満足度を重視するカップルも多いですから、『パンが美味しかった』という声は、ブライダル集客においても重要となります。想定以上に店舗の売上が順調ですので、店のブランディングを強化し、『人気店・コンフィエのパンを採用している式場&施設』と言えるようにしていきたいですね。」

 

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、11月1日号)