LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

《違いを生み出す広告写真の世界》#連載12 広角レンズでのバンケット撮影のポイント【Do 代表取締役社長 遠藤正人氏】
コロナ以降、会場のビジュアル撮影の方向性が変化しています。カップルが会場に求める要素として、開放感がありガーデンのある式場が人気となっています。ビルインで開放感を武器に出来ないホテルや式場が、どのようにビジュアルで対抗していくべきかを紹介していきます。
最近、ゼクシィ、ゼクシィネットの全国の式場のビジュアルを1週間かけて調査しました。紙面、ネットの構成を、ここ数カ月で大きくカスタムした式場が増えています。ガーデンの要素を前面に打ち出し少人数の写真をフロントに持ってくるなど、丁寧に戦略を立ててプロモーションを仕掛ける傾向が見られます。
例えば180名入る会場であっても、ゼクシィに掲載するときに収容人数180名と書くべきかどうか。これまで100名以上が平均だったエリアも、現在では50名前後に減少しています。180名とそのままにしておくと、50名前後のボリュームゾーンからは大きすぎる会場と思われるため、人数の最大数値を低くするといった対応が必要となります。
ガーデン、リゾート風がビジュアル上有利になっている中で、それが出来ない施設はどのような見せ方をしていくべきか。何の情報も収集していないカスタマーにとって、特にホテルはパブリックであるから心配という先入観があります。認知のキッカケになる媒体で、ビジュアルを再検討することが求められます。
ノバレーゼにもガーデンのないビルインの式場がありますが、そこではプライベート感を訴求するようにしています。ホテルは両家の親族控室、ゲスト毎の控室が充実しているのが武器でもあり、その情報を出すことによって、パブリックだけれどプライベートスペースは安心できるというイメージを訴求できます。
また最近多いのが、バンケットを広角レンズで広く撮影する手法。これまでのトレンドは、テーブルやコーディネートが小さく写るとインパクトが出ないということで、広角レンズでの撮影は一般的ではありませんでした。コロナ禍では、窮屈なビジュアルになることを防ぐために、スケール感のある会場を伝える広角レンズを提案しています。
この撮影にあたって注意すべきは、レイアウトもゆとりを重視しテーブル数を減らすわけですが、空間の間をどうするか。例えば、海外の披露宴であるような、流しテーブルをクロスにしてレイアウトするといった手法もそのひとつです。また、装飾にも工夫が必要です。披露宴会場の装飾の要素としてメインテーブル、ゲストテーブルが一般的ですが、会場の真ん中にスペースを作って植物のモニュメントを配置する。10卓のうち4卓は誰も座らないと決め、そこにも装飾を施すなど。
会場全ての撮影でなくても、安心感を与えるためにバンケットだけでも現状に即した撮影がおススメです。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、6月21日号)