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現場構造の課題解決【sawan 代表取締役 髙橋 和希氏】 

現場構造の課題解決【sawan 代表取締役 髙橋 和希氏】 

経験の浅いスタッフ底上げ
――新規接客の課題解決を目的としたAIサービスを、4 月中旬にローンチする予定です。髙橋「このサービスは、ウエディング会場における新規接客の現場構造を踏まえて設計しています。多くの会場の新規接客は、スタッフ3 ~ 5 名程度のチームで構成されています。その中には成約率の高いトッププレーヤー1 ~ 2 名が、いわゆるエースとしてチームの成果を牽引。その下に中間層のスタッフ、そして新入社員や新規を担当し始めたばかりの経験の浅いスタッフとなります。全体の成約率を高めるには、経験の浅いスタッフを育成しなければならないわけですが、トッププレーヤーは自ら努力し築き上げてきた接客スタイルやノウハウを持っているため、必ずしもすべてを共有しません。またエースであるがゆえに日常業務も忙しく、指導を来週まで待ってと言われれば、学びのタイミングも失われます。そこでトップではなく、中間層のスタッフに質問することが多くなる。しかし中間層の成約率は上限40%前後というケースも多く、それ以上のレベルに到達しにくいといえます。さらにエースが異動や退職などで抜けた場合、組織全体の成績が落ちるケースも少なくありません。成果を特定の個人に依存する、【属人化】は最大の課題となっています。」
髙橋「当社のAIサービスは、経験の浅い層の底上げを目的とした仕組みとして開発しています。まずは新人を含めた経験の浅い層を、スピーディーに平均レベルにまで引き上げることを目標としていて、そうなると中間層も成績向上を意識するようになり、トッププレーヤーもさらに成果を出す必要が生じてきます。こうしたボトムアップ型の組織構造を作る狙いです。サービスとしては、接客スクリプトの提示や接客の分析などを行うAIアプリとして設計。接客の成功体験を増やすことを目的としていて、新規接客への苦手意識を持つスタッフも少なくない中で、AIを活用することによって成果を実感できるような環境を作っていきます。」
――具体的な機能は。
髙橋「大きく4 つの機能を用意しています。1 つ目は事前準備機能。来館予定の顧客情報を事前に入力することで、その顧客に合わせた接客スクリプトを生成します。顧客情報は、ヒアリングした内容や会場の情報をもとにシステムへ入力。入力された情報をもとに、入口から出口までの接客の流れと訴求ポイントを提示します。例えば、自社会場がゲストハウス型で、新郎新婦が次の見学予定として有名ホテルを考えている場合。競合会場の強みとして、格式、ブランド力、親への安心感、知名度などが想定されます。こうした要素を踏まえ、ボトルネックや訴求すべきポイントを整理し、対応する接客スクリプトを提示する仕組みです。」
髙橋「2 つ目はロールプレイング機能。AIを顧客役として、実際の接客を想定した練習ができます。新規接客の開始から申込みまでの流れを、AIとの対話形式でシミュレーションし、接客前の準備段階から壁打ちのような形で活用することを想定しています。」
――接客データの活用も、AIならではの強みです。
髙橋「まさに、3 つ目として振り返り機能を設けています。接客後に内容を分析し、改善点を確認できる仕組み。接客時の録音データをシステムに入力することで、AIが接客内容を分析、接客スクリプトとの比較を行い構成としてどの程度の評価になるのかを数値で提示します。またネガティブだったポイントや改善すべき部分も指摘してくれます。振り返りは、録音データを入力する方法だけでなく、接客状況を手入力で整理する方法でも対応します。具体例としては、『次の会場も見たい』と顧客に言われた場合、その言葉の背景を分析することによって、単に他会場を見学希望だったからとして処理するのではなく、比較検討のフェーズで顧客を誘導できていなかった可能性や、ヒアリング不足のあった可能性などを提示します。」
髙橋「4 つ目はフリー相談チャットボット機能。接客中や準備段階など、さまざまな場面で質問を入力するとAIが回答してくれます。例えば『親に相談したいと言われた場合の対応方法』、『競合会場を見たいと言われた場合の切り返し方』などを質問すると、具体的な伝え方やロジックを提示。事前準備、接客中、振り返りのどの場面でも利用できます。」
――導入は会場単位になりますか?また、料金設定は。髙橋「はい、会場単位の契約で、1 会場につき5 アカウントまで利用可能とします。6 人目以降は1 アカウントにつき1 万円の追加料金を設定する予定。料金は月額3 万3000円を想定しています。地方の中小規模の会場でも、まずは気軽に導入できる料金設定です。導入時には会場情報や競合情報などを事前に入力します。会場ごとに強みや訴求ポイントは異なるため、それらをシステムに登録する必要がありますから。」
――AIサービスの機能を考えてみると、会場のコントローラーの役割を担っていくイメージかと思います。
髙橋「会場によって、コントローラーの経験や力量に差があります。新規接客の経験豊富な人材であれば上手く対応できる一方で、必ずしもそうではない場合もあります。適切な指導も出来なければ、エースに依存する属人化はどんどん課題となっていきます。AIサービスによってコントローラーの経験値を補完しつつ、全スタッフが日常的に学習できる環境を整えることで、通常1 年ほどかかる習得プロセスを3 ヵ月程度に短縮できる可能性もあります。管理画面では、成約率の推移や学習時間と成約率の相関なども確認できるようにする予定。学習量や成長過程も評価できる仕組みとし、支配人が人員配置や評価を判断する材料として活用することを想定しています。」
――髙橋さんはコンサルタントですが、AIサービスの進化はコンサルいらずの時代に向かっていくのでは。
髙橋「AIサービス自体はコントローラーの役割、さらにトレーナーの役割も一部担います。ただトレーニングには体系立てたナレッジも必要であり、その部分はコンサルでフォローしていくイメージです。ただ最終的にはコンサルティングを導入しなくても教育が回る環境を作ることを目標としていて、そうすれば地方の中小会場の活性化にも繋がるでしょう。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、3月21日号)