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連載28《当日施行力を向上させる サービスのレベルUP》【警備員】になりがちな入口スタッフの課題【at-heart 代表取締役 稲岡利彦氏】

連載28《当日施行力を向上させる サービスのレベルUP》【警備員】になりがちな入口スタッフの課題【at-heart 代表取締役 稲岡利彦氏】

 結婚式場では披露宴会場のサービスだけでなく、入口やクローク、アテンドといった「最初に接触する場所」をより重視すべきです。こうした仕事は近隣からアルバイトも集めやすいポジションで、新人スタッフに任せる会場も多いかと思います。ただ、最初と最後の場面にいるスタッフの質次第で、評価が大きく変わるのも事実でしょう。
 典型的な課題としては、入口などのスタッフが「ウォッチャー」になりがちな点。顧客対応というより警備員に近い立ち位置となり、問合せがあって初めて動く受け身の姿勢が常態化しています。これは本人の意識の問題というより、アプローチ方法を教えていない教育体制の問題と言えます。スペシャリストのベルボーイやドアマンのいるホテルに比べ、与えるイメージで差が生じます。
 「荷物はあちらへ」、「受付は3階へ」といった誘導のみで終わっていて、それ以上の関わりが極端に少ない。年配者の荷物を持つ、クロークまで案内する能動的な行動はほとんど見られず、完全に受け身の接客です。
 例えばゲストハウスではコンパクトだからこそより丁寧な接客が可能なのに、それこそ大型施設と同じ誘導型対応になってしまう点も問題です。本来はマンツーマンに近いおもてなしは可能でしょう。ところがある程度の規模の結婚式になると、入口・クローク・エレベーター誘導など役割は機械的に分断され、「あなたはここ」と配置されることで連続性も途切れます。エレベーターを押す人、クロークを預かる人という断片的な印象となり、ゲストは迷い不安を感じます。縦割り業務ではラテラルサービスが機能せず、本来の“繋がったおもてなし”は生まれません。
 例えば来館タイミングの分かっている両親や親族であれば、専属のバトラー的存在を付けることも考えていくタイミングではないかと。専属の役割を与えることで名前呼びも可能となり、雨天時の先回り案内や入口での祝福の声掛けも自然にできます。親族に対しても、「この後はこういう流れです」と積極的に関われるようになります。
 実際に遠方からやってくる親や親族は荷物も多く、披露宴前からのケア需要は高い。専属を付けることで、「次に何をすればよいか」をその人に聞ける安心感が生まれ、満足度は大きく向上します。新郎新婦にはプランナーや美容スタッフが手厚くケアをする一方、それ以外のゲストが一括対応では本当の意味での品質評価には繋がりません。主賓を含め、おもてなしは対象によって変えていきます。仮に専属を置いたとしても人件費はそれほど増えるわけではなく、どこに力を配分するかというメリハリです。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、2月11日号)