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連載5 ローカル会場【勝利の方程式】施行が集客をつくる―評判を高める設計【ティール株式会社 代表取締役 工藤 慎也氏】

連載5 ローカル会場【勝利の方程式】施行が集客をつくる―評判を高める設計【ティール株式会社 代表取締役 工藤 慎也氏】

 前回は、「広告を打つ」から「選ばれる理由を磨く」へと発想を転換することの重要性についてお伝えしました。今回はその延長として、ローカル会場がまず取り組むべきテーマである「施行から集客につなげる」という視点、そしてクチコミ・評判をどう高めていくかについて考えていきます。
 集客好調な会場を見ていくと、共通しているのは「エリアでの評判がよい」という点です。つまり、施行そのものが集客装置として機能している状態だといえます。一方、多くの会場では「施行はオペレーション」、「集客はマーケティング」と分断して捉えられがちです。その結果、クチコミ対策が「投稿をお願いする」、「カードを配る」といった表層的な取り組みにとどまり、なぜ書かれるのか、なぜ紹介されるのかという本質的な設計まで踏み込めていないケースが見受けられます。
 施行から集客につながる流れを分解すると、「施行満足→好意的な感情→記憶に残る→人に話す→検索・紹介」という連鎖になります。この連鎖は偶然起こるものではなく、意図的につくるものだと考える必要があります。
 まず重要なのは、列席者体験の設計です。将来顧客になりやすいのは、同世代の友人ゲストです。友人卓や同世代卓にはサービスのエーススタッフを配置し、料理提供のタイミング、ドリンク対応、進行のテンポなど、体感価値を高めることが欠かせません。また、披露宴中やお開き時に、プランナーやキャプテンを自然な形で紹介することで、「あの人にお願いしたい」という指名買いにつながるケースもあります。
 次に、新郎新婦との関係を「挙式後も続ける」視点。受注をゴールとせず、式後も緩やかにつながる仕組みを持つことが、紹介やリピートの土台になります。ブロックされるLINE登録よりSNSフォロー、周年メッセージ、同窓会イベントの案内など、負担の少ない接点づくりが現実的です。
 クチコミについても、「集める」より「生まれる」状態を目指します。無理な投稿依頼ではなく、「ここは本当に良かった」と感じてもらえる瞬間をどれだけ作れるか。スタッフの一言、ちょっとした気遣い、当日の安心感の積み重ねが、クチコミにつながります。同時に、低評価が生まれる原因を施行起点で潰していく視点も欠かせません。
 こうした取り組みを進めるうえで、施行チームと集客チームを分けて考えないこともポイントです。クチコミ内容を施行改善にフィードバックし、施行で生まれた強みを集客側が言語化する。現場を「コスト」ではなく「投資」と捉える発想が求められます。施行を磨けば磨くほど、評判が生まれ、紹介が増え、結果として広告に依存しない集客構造が育っていきます。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、2月11日号)