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キーマンに聞く

業界課題の解消目指す【ウエディングパーク バリューデベロップメント本部本部長 小笠真也氏】
ウエディングパーク(東京都港区)は昨年10月、バリューデベロップメント(以下VD)本部を設立した。同部署では、カップル向け満足度サーベイツール『survox(サーヴォックス)』のほか、結婚式費用のリアルなシミュレーションのできる『mieruupark(ミエルーパーク)』、婚礼写真のクチコミサイト『Photorait(フォトレイト)』を管轄。本部長・小笠真也氏に、業界課題とその解決への想いなどを聞いた。
教育できる中堅層の不在
――新卒でウエディングパークに入社して以降、営業本部を経てDX本部で本部長も務めました。小笠さんから見たブライダル業界の課題と、VD本部の具体的な事業展開は。
小笠「ウエディングパークはクチコミサイトからスタートしていますので、広告領域の会社として業界の活性化を目指しています。一方で、少子高齢化が進み労働人口が減少していく社会課題に加え、結婚式の減少、多様なニーズに応えられる人員確保と給与アップという、業界課題を強く感じていました。こうした大きな課題に対しては、解決に繋がる『仕組み』自体が必要だと。その仕組みを業界の皆さんに提供していくのが、当部署のミッションと考えています。主なキーワードとしては、省人化やAI活用など。式場、ホテル、フォトスタジオといった業界の第一線で活躍する皆さんが接客スキルを最大限発揮できるように、ウエディングパークの提供する仕組みで“余白”を創出する。『おもてなしオートメーション』という言葉を掲げ、現在様々なサービス提案の強化に乗り出しています。」
――人材不足は、業界にとって大きな課題の1つです。
小笠「人員がそもそも足りていないとの声は多く聞かれるものの、内訳を見ていくと若手スタッフは一定在籍。その若手を育て、自身も現場でスキルを発揮できる中堅層がいない状況を耳にしています。コロナにより業界を離れた人も多い一方で、そもそもの背景には、長く働ける環境を各社で整えられていないというケースも。その点にも着目し、仕組みを提供していければとの想いです。」
――VD本部で提供する主力サービスの1つは、カップル向け満足度サーベイツール『サーヴォックス』です。秋からは新たな機能も加わるそうですね。
小笠「『サーヴォックス』は来館時、打合せ、施行後など、それぞれのタイミングでカップルの本音をデータとして収集できるもの。昨年9月に追加した議事録・要約機能は、接客時の音声記録を自動で文字起こしし、婚礼接客仕様にカスタマイズされた生成AIで要約も簡単にできるようになりました。このオプション機能として、今秋からは『survoxおもレビAI』を提供開始します。主な機能としては、録音データからワンクリックで、AIが接客シナリオ、いわば台本を作成。各式場には若手プランナーもいれば、高い成約率を誇るベテランも在籍していますから、接客スキルを属人化させず、トッププレイヤーのノウハウをきちんとチームの強みにしていく。1人の接客から台本を作るのはもちろんのこと、複数のベテラン勢から共通項を見出し、シナリオ化することも可能です。あわせて、Aさんの接客から作成した模範台本と比較して、Bさんの接客はどうなのか、フィードバックできる機能も現在準備中。式場関係者からは、『ロープレはしているものの、教育するスタッフの時間も限られていて、若手の“待ち時間”が生じている』、『日々の業務に追われてしまい、接客台本を2、3年更新できていない』との声も聞かれていました。新機能はタイムリーに台本をブラッシュアップできますから、本サービスを通じてスタッフ育成の生産性をアップできればと考えています。」
――案内開始以降の反応は。
小笠「一定数の社員を抱える企業からは、必要な育成コストとして捉えてもらうケースが多くなっています。少数精鋭の式場でも、中堅層の手が回らず若手を育成しきれない背景から、企業規模に関わらずサービスへの期待も大きいようです。」
『mieruupark』も順調に推移
――昨年秋からは、結婚式費用の見積もりシミュレーションサービス『mieruupark』を提案開始しました。装花のボリューム、婚礼メニュー、人数の変動などによって金額がどう変わるのかを可視化したものですが、導入状況に関しては。
小笠「アクティブユーザー数は、今夏時点で1万2000人を突破。計画通りの数字となっています。また、契約式場数も昨年11月と比較して151.7%まで増加しました。フェア予約後の式場見学前にカップル自身で利用するのはもちろん、例えば会場でプランナーと一緒に金額の話をしている際に、その場でリアルタイムに使えるツールとしての活用も広がっています。総額がどう変わるかのカップルの理解に繋げて、価格の透明化の一翼を担えればとの想いです。」
――VD本部は人員も増強しているそうですね。
小笠「営業にあたるセールス担当者は以前と比較して倍に。mieruuparkなどを筆頭に、開発から提案のフェーズに入ってきたイメージですね。SaaSのサービスは運用サポートが手厚くなく、提供して終わりというケースも見られる一方、業界の皆さんと伴走していくことは重要と考えており、セールスの中にCSチームも立ち上げ支援を進めています。現在セールス担当者のミッションの1つに、様々な声を“拾ってくる”ことを掲げています。提供プロダクトは完全体とは思っておらず、まだまだ進化できますし、サービス導入はゴールではなく通過点のイメージです。業界で働く人達は、単価アップ、成約数を増やすという以上に、『素敵な結婚式を届けたい』との想いが強い。定量的なゴールはあれど、業界で働く皆さんの率直な気持ちを尊重できる裏側の仕組みを提供し、最終的にはカップルの満足度にも繋げていければ嬉しいです。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、9月1日号)

