LISTEN to KEYMAN

キーマンに聞く

〝丁寧〞な採用がカギ 【テイクアンドギヴ・ニーズ 人事部長 酒井雅弘氏/ノバレーゼ 人材開発部長 前野徹志氏】

〝丁寧〞な採用がカギ 【テイクアンドギヴ・ニーズ 人事部長 酒井雅弘氏/ノバレーゼ 人材開発部長 前野徹志氏】

 6月10日、11日に開催された『ブライダル産業フェア』の中で、注目セミナーをレポートとして紹介。今号はテイクアンドギヴ・ニーズ(東京都品川区)の酒井雅弘人事部長と、ノバレーゼ(東京都中央区)人材開発部長・前野徹志氏による人事対談をピックアップ。中途採用の難しさもあり人材不足が課題となる中、新卒採用からの育成に注力する企業も増加している。大手2社の新卒リクルートの状況、重視すべきポイントなどを追った。

●昨今の新卒採用の動向● 
前野「とにかく『早い』の一言は、まず挙げられるかと。大手ナビサイトは6 月からと言いつつも、27年卒採用はすでに4月にはスタートしていました。各社そのスピードに合わせスケジュールを調整していくことは、大前提と言えるでしょう。」
酒井「私自身もその認識で、『3年』が同時に回っているイメージです。4月に入社した2025年新卒のフォローをしながら26年入社の面接対応を進め、同時に27年入社の母集団形成に着手。この周期は非常に早くなったと感じています。数年前まで当社は、7月頃からインターンをスタートしていましたが、それではもう間に合わないと。27年卒の現在大学3回生に向けては、春頃からインターンを開始し、会社の魅力をすでに伝え始めている状況です。」
前野「このような状況になった今、片手間での採用活動は絶対にできないと感じます。“丁寧”な採用をしなければ、学生はもう振り向いてくれません。一昔前は、応募してくれた学生を取るか取らないかの話でよかったものの、今となっては魅力づけ、的確な情報提供などは必要不可欠。企業によっては総務部で採用や研修業務を担うケースもあるかもしれませんが、採用専門の部署を置くことは、重要になってきていると感じます。」

●母集団形成&面接● 
前野「母集団形成に関しては数ももちろんのこと、それ以上にどれだけ質の高い人たちを集められるかを重視しています。具体的には5年後、10年後の会社の在りたい姿から逆算し、どういう人材を何名取っていくのか。採用の本当のゴールというのは、入社後多様性のあるメンバーが活躍し、実績を残し、そして組織の活性化に繋がっていくこと。これらをすべて網羅して“初めて”採用になると、私自身考えています。これに基づき、ここ1年は改革により注力していきました。その1つが、リクルートページのリニューアルです。既存サイトはビジュアル重視だったものの、ノバレーゼとして今後どういった企業になっていきたいかが、実は伝わりにくいのではと。そこで新たに、『揺さぶれ心、動かせ未来。』をキャッチコピーに、真っ白なキャンバスにスタッフがペンキで色を重ねていくコンセプトムービーも作成し、仲間を募っていることを訴求し始めています。サイト改修は昨年末でしたので、その結果はこれから期待したいところですね。」
酒井「T&Gの新たな取り組みとしては、面接に重きを置きつつも、『事前課題』を設けるようにしました。具体的には、最終面接の前に学生自身で新郎新婦のペルソナを考え、その2人を表現するコラージュを作成してもらいます。面接は企業が学生を“選ぶ”という従来の意味を持つと同時に、学生にとっても企業を理解し、どこで働くかを選ぶものとの考えです。昨年から当社は、『ただしいよりも、たのしいを。』をブランドメッセージに掲げています。この想いに共感して、当社で働きたいと思ってもらえるかが重要です。この事前課題を『大変だった』で終えてしまうのか、『大変だったけれど楽しかった』と感じてもらえるのか。前者の場合は、『T&G以上に合う企業があるかもしれないよ』と、正直に伝えることもあります。お互いにとってミスマッチを防ぐ意味でも、きちんと伝えていくことは大事だと感じています。」

●インターンシップ●
酒井「インターンシップに関しては、①将来マネジメントや企画職に就きたいビジネス色の強いもの、②現場で輝き続けたいプレイヤー目線、③フラワーやドレスのコーディネーターといった専門職向けの3つに細分化。実施回数も以前より増やしています。ドレスはショップに行き、衣裳を直接見られるように。フラワーの場合はアトリエを訪問し、先輩からブーケ作りを教えてもらうなど。細分化していったことで定性的なプラスの声が聞かれているのはもちろんのこと、選考が進んでいく際の離脱率は以前から下がってきているので、これは結果に繋がっているとの認識です。」
前野「ブライダルに強い興味のある層に向けたインターンに加え、“偶発的”な出会いがなければエントリーしてくれない層向けのものを、用意するのも重要でしょう。例えば、いわゆる社長のカバン持ちを経験できるような、ビジネス志向の強い学生向けの企画を打ち出してみるなど。ブライダルに強い憧れを持つ学生に多く来てもらえればとの想いはもちろん強いものの、組織の多様性を考えた際には、ブライダル色のそこまで強くない人材が入ってくれることも、企業にとってはプラスになると思っています。」

●内定期間中●
酒井「全国に店舗もありますから、内定期間中はアルバイトも提案しています。あくまで居住地がどこなのかにもよりますが、本社でも内定者アルバイトを受け入れており、人数はまだそこまで多くないものの、各店舗の集客窓口になっているコールセンターでのアルバイトも用意しています。オンラインで予約の入ったカップルに対しメール・電話でヒアリングをしていく部門で、この業務を内定者が担当することもあるわけです。『Z世代は電話が苦手』との声もある一方で、実際に入社し店舗に配属されれば、電話はどんどんかかってきますから。あくまで実践的な業務を数ヵ月早めに学んでいくイメージですね。ぶっつけ本番のようにすぐやらせるのではなく、電話のオペレーションを先輩がきちんと教えた後、合格ラインに立ってから業務をスタートする。企業全体で協力体制を用意し、しっかり育てていくことはポイントと言えるでしょう。」
前野「当社は内定期間中に懇親の機会を設けるなどはしているものの、そこまで他社と異なるような大きな取り組みはしていないのも事実です。そもそも当社における内定辞退というのは稀なケースで、その背景には面接時の的確な情報提供がカギとなっています。実際にヒアリングしたところ、約80%の学生が口コミサイトをチェックしていて、「ノバレーゼに関する口コミは見たことある?」と、こちらから話を振っていく。サイト上にはポジティブな声もあれば、ネガティブな書き込みがあるのも事実です。そこに企業側からきちんと話を持っていき、情報を提供する。『過去にはこうしたことが確かにあったけれど、現在はこうなっている』など話をしてあげることで、学生にとっても不安は解消されますし、ミスマッチを防げます。結果として、内定辞退の回避にもなり、内定期間中に大々的な企画などを打ち出さなくても、信頼関係は十分築けているとの考えです。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月11日号)