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キーマンに聞く

効果測定の基準づくり【マイプリント 専務取締役 野坂透氏/PIEM 代表取締役社長 宮城 光一氏】
結婚式準備システムの先駆けである【ONE-W】を、800会場に導入しているPIEM(福岡市博多区)の宮城光一社長と、招待状・席次表を中心としたシステム【WPS】を提供しているマイプリント(東京都多摩市)の野坂透専務取締役による対談第2回目のテーマは、連携によりどのような取組みを進めていけるのか。システム化に踏み切っていない会場に対し、実際に効率化によってどのような効果があるのか、基準作りの重要性を語りあった。(前回から続く)
顧客データを活かす発想
野坂「宮城さんの指摘する少人数だからシステムは不要だという考え方に関して、まさしくそうした声は多いですね。ビジネス的に考えれば、単価の安い挙式を扱うからこそ、思いきり工数を下げるべきだと考えています。ただ1 人ひとりのプランナーの負荷しか考えていない場合には、少人数の挙式だったら楽だからいいだろうとなってしまいます。わざわざシステムを使う必要もないと。実際には単価の安い挙式であるからこそ、その分利益を確保する上でも効率化は必須で、それこそ全てをシステム内で顧客に進めてもらおうといった発想も出てこなければならないのですが。」
宮城「会社の考え方も大切でしょう。効率化だけでなく、きちんと顧客の動向を一元管理したいからこそ、システムを使うべきだという判断をできるかどうか。少人数であっても、システムを使うことでゲスト全ての情報がキチンとリストとして会場のデータに入ってくるわけで、これは情報管理に対する意識です。せっかくの資産を、少人数だからと垂れ流してしまうのはもったいない。」
野坂「WPSでも、全ての挙式者を登録している会場に対し、実はそうではない会場の方が多いかもしれません。その理由としては、他のシステムで顧客管理をしているからいいと考えている可能性もあります。ただ我々のシステムの範囲は、他のシステムに比べて遥かに情報量も多い。管理項目としてもゲストの情報、アレルギー情報など膨大に入ってきます。仮に周りのシステムから必要な情報だけを取りたいと、システム間の連携を求められても、トラブルになりやすいわけです。」
宮城「項目が外から見てもよくわからないという状態ですから、システム連携を簡単に考えているとトラブルを招いてしまいます。特に招待状はシステム上一番困難であり、それこそ名前だけでもデータは膨大になりますから。」
野坂「ONE-W、WPSは共に、管理面で一番多くの顧客情報を全て入れられる箱であるからこそ、なぜこれを使わないのかとは思います(笑)。ただ啓蒙という考えでいくと、顧客情報を入れることで、どのようなオペレーション上のメリットが出てくるのかをキチンと理解してもらうことも大切でしょう。」
宮城「会場としては、自分のところ以外でどんな風に使われているかを知りたいと思います。その点では、システム導入によってどのような業務軽減に繋がるのかなどを知れる機会として、セミナーのような取組みは大切ですね。システム各社では独自に勉強会も開催していますが、システム会社にとっても他社のシステムからも学べる機会は必要でしょう。」
野坂「例えば当社とPIEMが同じセッションの中で、システムをこういうふうに使えば、もっとこういうことができるということを、お互いに言い合える場所としてセミナーは考えられます。当社のシステムには、その機能はないといったやりとりも有りでいいかと(笑)。システム会社のこうしたやり取りにより、会場に対しても価値を提供できます。それぞれの業務分野で、会場側に対してこういう使い方をしているところもあるという気づきになれば。」
宮城「実際に同じ領域のシステムであっても、機能として違いはあります。その違いを理解してもらい、会場ごとにどっちがいいかを考えられるきっかけ作りにもなります。」
野坂「システム各社の案内などを見ると、会場の業務の図があって、そこにシステムでカバーできる範囲のマッピングを入れているものをよく見ます。その図が各社異なっているため、見た目も比較検討も難しいのは事実です。そうしたモノを、システム会社が連携して一緒に作っていってもいいはずです。」
宮城「あとは会場のプランナーだけでなく、ギフトや衣裳、撮影などのパートナーに対してもそうした啓蒙による理解の促進は大切だと思います。例えばギフト会社では、最初はFAX注文だったのが、現在はオンラインに切り替わっていて、システムの普及により間違いなくパートナー側にも貢献出来ています。ただもっと出来ることはあるはず。例えば各ギフト会社で異なる生産管理システムと繋げつつ、商品コードも業界共通の基準を作れば、会場・パートナー企業双方にとってより効率化に繋がっていきます。」
野坂「会場もパートナー企業も、システムを導入した効果面を重視しています。ただ具体的にどうなるのかは、各社で資料として出してはいても、その基準と作りについてはバラバラな気もします。」
宮城「効果測定のための数字の落とし込みはかなり難しく、月30時間だった残業がいつの間にか15時間に減少して、初めて気が付くといったこともあるでしょう。成約率や、1 工程にかかる時間の減少値を出すのは、非常に難しいです。」
野坂「当社の分野ですと、校正回数は一つの基準です。3 回が1 回になれば、1 回あたりのやり取りで10分、15分かかっていたから、合計削減時間はどの程度になると計算します。そういう考え方をまずは共有して、効果基準をある程度合わせていくことは必要ですね。」
宮城「あとは、業界にシステムの安心感を訴求していくこともミッションの一つかと。個人情報流出を防ぐセキュリティのほか、停電時の対応など。当社では以前、DDoS攻撃を受けたこともあります。いかに攻撃を早く察知するかですけれど、そういうことから防ぐ仕組みを入れているかどうかも大事なことです。」
野坂「個人的に思うのは、ウエディング業界は、他の業界よりもシビアな対応が求められます。一生に一度の結婚式ビジネスであるため、会場、プランナーのピリピリ具合は他の業界ではそれほど見られないですから。求めてくる要件もそうですし、厳しさも含めて、こうしたことをしっかり伝えていけば、他業界から優秀なエンジニアもどんどん入ってきてくれる可能性は出てきます。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、3月1日号)

