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キーマンに聞く

自社の文化に共感する人材像【TIPLOG 代表取締役CEO 高津守氏】
TIPLOG(東京都大田区)は、プランナーの人材紹介を始め、採用ページのWEB広告の運用など企業向けに採用戦略のサポートを展開している。以前は人気職種であったブライダルの仕事であるが、最近は中途を始めとして人材不足の状況に陥っていて、採用コストも年々増加している。同社の代表取締役CEO・高津守氏は、企業のブランディングによる採用力を高めていく手法や、母集団形成のために着手しておくべき施策を語る。
母集団形成が重要に
昨今の採用市場は、コロナを経てブライダル業界と距離を置く求職者が増えているのが実情である。もともとブライダル業界で働いていた中途の人材は、条件的にいい別の職業を希望。また新卒に関しても、かつてのような憧れは弱まっている。同社では定期的に学生とのセッションを通じ、ブライダルの仕事イメージをヒアリングしているが、第一声で【ブラック】という声も少なくないという。だからこそ、企業ブランディングを採用面においても、発揮していくことが求められている。
「会場を選ぶカップルにしても、企業の目指している方向性やどのような想いを大切にしているのかといった部分を重視するようになっています。それは企業の採用戦略においても同様。プランニングをとても大切にしている企業に入りたい、人を大切にしているところを希望するといった話は非常に多くなっていますから。例えば、披露宴でプランナーも一緒に踊って盛り上げる企業もあれば、朝礼からハイタッチをし合うという会社も。こうした様々な企業ブランドを、求職者に伝えていく必要があります。」
その上で、採用のポイントの一つは、【定める力】である。どんな人が欲しいのか、自社にマッチする人材要件をしっかりと定めていくことだ。その際に考慮するのは、経験やスキルだけではない求めるべき人材像。採用の際に、成約率70%の人材が欲しいなどスキルばかりを基準にしている企業も多いのに対し、自社の文化やビジョンに共感してくれる人材はどのような人なのかを明確にしていく。
「【集める力】も不可欠です。特に現在は母集団形成を進めるべきで、これまでのようにスカウトや大手媒体だけを活用していても、採用はままならない厳しい状況です。数ある採用方法の中で、年齢・キャリア・性別などをある程度セグメントして、どんな媒体、どんな手法を使っていくかの整理をしていくことが大切です。さらに自社運営にも、しっかりと取り組んでいく。最低限として、自社のホームページ内でリクルーティングページはわかりやすく表現されているか。中にはホームページに掲載しているから大丈夫という企業もありますが、最近は採用のLPをうまく活用して、職種に特化した案内をどんどん出していくなど、細かな対応がより求められています。」
母集団形成の上で、リファラル(紹介)も着手していくべき重要なポイントである。
「ユーザーが、その会社の商品やサービスを他の人に推奨したいかどうかの指標として、NPSは一般的です。最近は、従業員の正味推奨者比率を示すeNPSが注目されています。これは、会社に友人を紹介して一緒に働きたいと思っているか、どれだけ魅力を友人に伝えたいかの指標。数値が高いほど、リファラルに強いということ。いわば【巻き込み力】で、コストゼロ円での採用を実現できます。」
集客と同様の運用が必要
採用Webマーケティングも外せないポイントだ。ブライダルの場合、集客を担うマーケティング組織は中小であっても整備している一方、人事に関してはまだまだ進んでいない。集客と同じ意識で、採用においてもWebマーケティングを展開。例えばリスティング広告であれば、エリア、企業ブランド、採用職種によって、どこまで効果的なのかを分析していく。特にブライダルの場合には、インスタを始めとしたSNSとの親和性は注目される。
「当社でサポートしたWeb広告運用の効果として、地方都市に複数会場を展開する企業では、1 人当たり4 万1000円だったエントリー単価を、3 万円程度にまで下げられています。バナーを作ってLPに着地させ、採用エントリーまで導いていく手法です。また北陸エリアでは、月10万円の広告単価で2 ヵ月間運用したところ、3 名のエントリーを獲得し、その中から優秀な人材1 名を採用できました。それまで求人広告などを出しても全く採用できなかったのに対し、わずか20万円の広告投資で採用に至りました。」
LPを作ってただ待つだけでなく、Web広告を運用していく以上、日々PDCAを回していく必要が生じる。少なくとも1 ヵ月~ 3 ヵ月のタームで運用し、ヒートマップの分析をして、どこで立ち止まって見てもらっているのかを把握していく。同時に目詰まりしている部分をあぶり出し、入れ替えるといった対応も求められる。
「特に大切なのは最終エントリー到達率で、当社のサポートではエントリーフォームへの到達率をコミットして日々運用しています。スタートした当初は5 %程度しかエントリー到達にいかないケースも、改善によって20%~40%まで高まっていきます。そこで、エントリーの入らない場合は、企業ブランディングや、求人の要件の問題という可能性を探っていきます。広告を打って終わりではなく、回しながらキチンと課題を探りあてていく、集客マーケティングのような運用は重要。特に地方エリアでは、まだまだ競合も少ないからこそ、Webマーケティングをうまく使っていけば効率的な採用を得られます。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、8月1日・11日合併号)

