LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

自ら主催者としてイベント開催 企業向けに年間計画を提案して利用促進【マグリット 代表取締役 羽原俊秀氏】
5バンケットの稼働率を、いかに高めていくか。そこで宴会・パーティー需要の獲得に注力しているのが、ザ マグリット(岡山県岡山市)だ。エリア全体の低迷のあおりを受け、結婚式施行が100組前後と減少している一方、宴会・パーティー数はコロナ前と比較しても2.3倍になるなど好調に推移している。自社主催のイベントを次々に企画し参加者を集めるほか、プランニング力を生かした法人向けのセールス手法などを、同社の羽原俊秀社長に聞いた。
―― 7 月22日、【NEW YORK NEW YORK night】と題したイベントを開催し盛況だったようですね。
羽原「今回のイベントは、私自身が初めて主催者として企画しました。私は1986年から89年までアメリカに滞在していて、当時はクラブ最盛期。その頃のNYの雰囲気を再現した【大人の遊べるパーティー】をテーマに、3 会場を使ってカクテルパーティー、クラブ、アフターパーティーを実施しました。食事、飲み物込みで1 万円の会費でしたが、参加者は当初想定していた80名を大きく超えて150名に。私の友人、知人が3 分の1 。そのほかは、スペシャルゲストとして招いた、NYで活躍する岡山出身のジャーナリストや外国人バンド、シンガーが声をかけ参加してくれた人たちです。岡山という狭いエリアでパーティーを開催していると、参加者はいつも同じような顔ぶれということも多いのですが、今回は東京や北海道、NYからの参加者もいて、新しい出会いの場になったかと思います。パーティー自体はとにかく食べて飲んで、演奏を聞いて、紹介し合いながら騒ぐという感じでした(笑)。自ら主催してみて、どんなパーティーにするか、誰を呼ぶかなどに思いを巡らせていくのは、改めて人生を振り返る機会にもなりました。」
――岡山のブライダルマーケットは厳しいとか。
羽原「コロナ前と比較して、マーケット全体、さらに当社も半分程度にまで減少しています。コロナ禍に、神殿だったスペースに20~30名の少人数バンケットを作りました。1 時間に空気が8 回入れ替わる空調設備を採用し、オープンキッチンも設けています。通常人数帯の40~50名に対し、最近は20名前後の少人数が増えているため、そうした層はこのバンケットで対応しています。とは言え、当社は大小合わせて5 バンケットあり、言ってみれば昼夜で一日10枠。年間で稼働可能な日を300日と想定すれば、3000枠となります。結婚式で100~150と想定しても、残り2800以上の枠をどうするか。そこで重要になるのは、宴会・パーティーです。宴会・パーティー対応は現在のところ500件になりますが、夜だけではなく昼にも研修会やセミナーを行ってもらうことは必要でしょう。また、平日昼に来場可能な、主婦層向けの企画など。ウエディング売上が大半を占めていた構造から、今後は宴会・パーティーを含めた様々な企画を打ち出して、その収益を高めていかなければなりません。いわば、ウエディング施設ではなく新しい時代のコミュニティセンターになっていく。この1 、2 年は、その土台を作り上げていきます。」
――少人数バンケットでも、パーティーなどを獲得しているそうですね。
羽原「ワイン会を団体や個人で主催するケースもあり、自社でもワインイベントを企画しています。日本ワイン協会の会長で俳優の辰巳琢郎さんを招いて、オペラ歌手の娘さんに歌を披露してもらうという企画は、3 万円ながら毎回完売しています。またオープンキッチンを活かして、料理教室を毎月開催。レシピを説明しながら料理を作っていき、その後コースを提供することで、ランチプラス付加価値を求める女性層を獲得しています。」
――宴会・パーティーの受注状況は。
羽原「2019年比で、230%に達しています。コロナ中にも人の集まるパーティーに会場を提供してきたことで、その後も継続利用に繋がっています。自社主催の企画ではガラパーティー、大人のハロウィンなど新たなスタイルを打ち出しているほか、帝国データバンクで周年の会社を調べ、直接アプローチも進めています。イベントを企業と一緒に企画することもあります。例えば内定式後の懇親会に関して、よりその会社の魅力を打ち出すためにどのように演出していくのかを提案するなど。また、内定式、異動の歓送迎会、方針発表会など、大小合わせて毎年50回ほど利用してもらっている地元企業もあります。そこまで多くなくても、様々なイベントで当社を利用している企業に対しては、年間計画としていつどんなイベントが必要といった提案をしながら、年間予算を取ってもらうケースもあります。」
――社長自ら、営業に一役買っているそうですね。
羽原「当社の副料理長は女性で、フランスで4 年間修業しミシュラン星付きレストランの経験もあります。季節ごとにメニューを変更する際に、知人の経営者を1 回あたり4 、5 人招いて、料理をしっかりと食べてもらう食事会を実施。新しい料理を食べてもらいながら、宴会・パーティー会場として使ってもらうようさりげなく(笑)営業しています。」
ケータリング事業も推進していく
――インバウンド対応はいかがでしょうか。
羽原「当施設は丸の内1 丁目に位置していて、岡山城や後楽園からも近いロケーションが強み。実は岡山城のリニューアルによって、入場者数が増加。関西、四国からの日帰りバスツアーも人気になっているのですが、その参加者にランチ、アフタヌーンティーを提供する企画を旅行会社から提案を受けて実施しています。その流れで今後はインバウンド集客も考えられますから、専用メニューを作るなど準備は進めていく方針です。」
羽原「岡山城との相乗効果に関しては、実は城内でパーティーを開催できるようになったことで、ケータリング依頼が舞い込むようになっています。当社はもともと宿泊施設で修学旅行に対応していたため、200畳ある大きな厨房を持っているのは強みです。宴会・パーティーと共に、ケータリング事業にも今後は力を入れていきます。」
――2022年には、LUXEのFCに加盟し、フォトスタジオをオープンしました。
羽原「今年は200件の撮影を目標にしていて、毎年受注は増えています。全体の利用者のうち、岡山在住者は50.9%。残りは県外で、近県の広島、兵庫、香川のほか、北海道、沖縄、中には韓国から撮影に来た人もいます。、またスタジオは、宴会・パーティーにも貢献していて、例えばフォトブースでカクテルパーティーを開催するケースや、パーティーの参加者が最後にLUXEで記念撮影をするといった案内もしています。地元のジュエリー会社と連携し、マリッジリング購入者の記念写真をLUXEで対応するという企画もオープン時から実施しています。直接の撮影以外に、相乗効果を生んでいます。」
――ブライダルに関して、組数を維持していくための取組みはいかがでしょうか。
羽原「ユーザーに対して信頼を与えるためには明朗会計が大切と考え、今年に入ってから【Annipa(アニパ)プラン】をスタートしました。これは一つひとつの項目に対する料金を明確にし、積み上げ式で見積もりを作成していくもの。最終的には、ネット上でユーザー自らが必要なものを選んで、見積もりを確認出来るようにしていこうと考えています。必要なものだけを選べば低価格で結婚式を実施もできますし、この仕組みであれば総額から50万円、100万円を値引きするといった必要もなくなる。アニパプランを山陽新聞に取り上げてもらったことで注目も高まっていますし、信頼を与えられているからこそ成約率もアップしています。」

