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Innovation〔顧客データベース化の発想〕②御礼状・引出物贈り分けと連携【高光産業 代表取締役社長 妹尾八郎氏】

Innovation〔顧客データベース化の発想〕②御礼状・引出物贈り分けと連携【高光産業 代表取締役社長 妹尾八郎氏】

 顧客データベースの収集・活用で、ホテル式場に新たな収入をもたらす仕組みを提案している高光産業(福岡県博多区)の妹尾八郎社長。前号では、その基盤となる新郎新婦だけでなくゲストも含めた顧客データ収集を、ビジネスモデル特許を活かしてどのようにスムーズに対応していくかを紹介した。2回目となる今号では、データを資産化したことでもたらされる新たなウエディングの収入の可能性を紹介する。すでに葬祭事業者向けに実績のある特許の仕組みをブライダルにも活用することで、新郎新婦の負担を解消すると共に、式場のオプション化による単価アップを実現していく。

他施設との差別化実現
 妹尾氏は、顧客データベースを活用した周辺領域のビジネスモデル特許も取得している。ブライダルにおいても活用できるこの仕組みは、コロナ禍でも注目を集めているキャッシュレス化や引出物の贈り分けを実現していくものだ。大切なことは会場が主体的に対応していくことによって、ゲストデータを使った新たなサービス構築が可能となり、少人数化が課題になっている業界にあって単価アップを実現する。
 妹尾氏が取得しているビジネスモデル特許の一つが、【式典管理装置、式典管理方法及び記録媒体】。これを発明したきっかけは、結婚式を控えた知人女性から聞いたある言葉だった。『結婚式の後に、御礼状や年賀状を列席してくれた人一人ひとりに書くのが本当に面倒。』
 「メールやSNSが主流の現代ですが、結婚式に出席してくれた人への御礼状は感謝を記す意味でもやはり手紙というのが常識です。また、年賀状すら出したことのない若い新郎新婦が、結婚式後には求められるわけです。それならば、会場側がゲストの情報をデータベースとして獲得しておくことにより、それこそ御礼状や年賀状を会場が代行することも可能となります。これにより、新郎新婦の負担が解消されると共に、会場にとってもオプションとして販売することによって単価アップも実現できます。ITを適用した囲い込みの仕組みがこのビジネスモデル特許であり、特許を利用することで様々なサービスにも展開できます。」(妹尾氏)
 新たなサービス展開の一つが、キャッシュレス化だ。コロナ禍において、ご祝儀のキャッシュレスが加速してはいるものの、まだまだ現金が主流でもあるのも事実だ。ご祝儀の慣習として、受付で直接手渡さずにキャッシュレス決済をすることは礼節に反するというイメージは現在でも根強く、これがキャッシュレス化の高いハードルになっている。
 そこで妹尾氏は、専用のご祝儀袋にQRコードを印字したメッセージカードを入れ、それを受け取った新郎新婦が後でスマホをかざすだけで、ご祝儀がECで支払われる仕組みを構築した。同時にご祝儀を支払ったゲストのリスト、金額などを自動で作成することもでき、またメッセージ動画などのコンテンツを付随させることにより演出効果も高まる。受付ではQRコードのメッセージカードを入れたご祝儀袋を直接手渡すスタイルとなることから、見た目にも渡す側が礼節を欠くことなく、スマートなキャッシュレス対応を実現している。
 「キャッシュレスのポイントは、現金でないことから会場側がサービスの一環として対応できることにもあります。リストの自動作成機能でデータベースを会場が管理しておくことにより、前述した御礼状や年賀状の発送を会場側で代行できるという部分にも繋がっていき、そうした関連サービスで単価アップにもつながります。また、引出物についても、あらかじめ贈り分け用の金額を決めておけば、データベース内で自動的に誰に何を贈るのかが弾き出されていきます。想定していた以上のご祝儀額であったゲストに対して、急な引出物の変更も可能となります。」(妹尾氏)

 前回でも紹介した、会場が提供する新郎新婦専用HPでのプレゼント企画、キャッシュレス化により会場がゲストのデータベースを取得することで、様々な付加価値サービスが生み出される。さらに、こうした便利なサービスを提供できるということから、他会場との差別化にもつながっていく。
 このキャッシュレスの仕組みは、一般パーティにも活用できるのがポイントだ。会費制の法人宴会などでは、受付時に多くの人が並び、一人ひとりから会費を集めるという時間、負担が生じてくる。当然、多額の現金を管理しなければならないということになり、保管のリスクもそれだけ高まってくる。
 「まずは参加者に事前にチケットを送っておくわけですが、そのチケットにQRコードを印字しておき、あらかじめキャッシュレス決済をお願いしておく。当日にチケットを持ってきてもらえば、主催者はそのままQRコードにスマホをかざすだけで、後はECで支払われることになり、結婚式のご祝儀と同じ仕組みです。例えば、主催する会社の説明などの動画コンテンツを組み合わせることで、事前にパーティ出席への期待感を高めることもできます。」(妹尾氏)
 特にコロナ禍においては、参加者の受付時がもっとも3 密になりやすい場所として課題となっている。キャッシュレスによる対応を導入すればこれを回避すると共に、参加者の利便性を高めるメリットが生まれる。
 この仕組みについては、あくまでも会場が主体的にデータベースを収集することが基本となる。次号はブライダルマーケティングとリサーチの併用を紹介していく。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月21日号)