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Innovation〔顧客データベース化の発想〕①ゲストの顧客データベースを収集【高光産業 代表取締役社長 妹尾八郎氏】
コロナ禍の売上アップを目的に、式済み顧客のデータを活用したアフターブライダルの事業構築に乗り出す企業が増えている。その一歩先を行く【結婚式に参列した顧客も含めた顧客データを有効活用していく】仕組みを提唱しているのが、物流業の高光産業(福岡市博多区)妹尾八郎社長だ。妹尾氏はITに関する数々のビジネスモデル特許を取得し、各業界のデータベース収集、活用の支援を進めてきたが、ブライダル業界向けにもそのノウハウの提案を開始する。データベース活用のカギは、いかに精度を高く、いかに多くの情報を収集できるかにかかっている。そこで今号から3回にわたって、妹尾氏のビジネスモデル特許を活かしたブライダル業界の新たな可能性を紹介していく。
ブライダル企業が、新規事業として通販ビジネスに着手する傾向が高まっている。食品やギフト、花など、もともと取り扱っていた商品をそのまま展開することで事業スタートが比較的容易であり、しかもコロナ禍のお取り寄せブームにより収益化のスピードも早まっている。
通販において最も負担のかかるのが、スタートアップ時の顧客データの収集だ。その点、ホテルや式場では、それ以前から結婚式などで利用したエンゲージメントの高い顧客がいる。このデータこそが新規事業の優位性を担保しているのだが、現実として顧客データは新郎新婦に限定され、そこから紐づく大量のゲストのデータを収集できていない。ゲストの顧客情報を企業として収集、活用する仕組みを取ってこなかったために、会社の資産化ができていないわけだ。年間150組を施行する会場にとって、その背後にいる1万人前後のゲストデータをみすみす垂れ流してしまっているのは非常にもったいない話だ。これは通販のみならず、飲食や宴会、さらにはゲストの婚礼ニーズへのアプローチをできる可能性という点でも損失は大きい。
「私のビジネスモデル特許の特徴は、利用した顧客データをいかに自然に収集していくかという部分に全てが集約されています。ネットが広まってきた当時から、発信ではなく収集にこそチャンスがあると考え、その方法に関する様々な特許を取得してきました。」(妹尾氏)
現状ではゲストの個人情報取得については、招待状発送時などに機会はあるものの、あくまでも新郎新婦が取得したという前提であるため、会場として個人情報を保管することも、その後のアプローチにも活用できない。会場としては、やはりゲストから直接情報を得る仕組みの構築が必要だ。
そこで妹尾氏が提案するのが、カップルのHPの作成とそこで実施するプレゼント企画だ。このビジネスの仕組みについても、特許を取得している。
「まずゲストへの招待状の中にQRコードを添付し、カップルのHPに飛ぶようにします。新婦側のゲストには、これまで会ったことのない新郎がどういう人なのか、2人はどこで知り合ったのかなどの情報を掲載します。そのHPを会場が提供することによって、ゲストはまず会場のデータベースに登録してもらうようにします。そこに会場の動画などを入れて作成すれば、それだけでPR効果も高まります。」(妹尾氏)
その際、ゲストの登録動機を高めるために実施するのが、プレゼント企画だ。新郎新婦からのプレゼントという見せ方をし、例えばホテルであればスイートルーム宿泊などを提供する。プレゼントの応募時に、簡単なアンケートに記入してもらうことも可能となり、さらに個人情報のチェックボタンを入れておくことで、登録したゲストのデータをその後に活用することも出来るようになる。
このプレゼント企画は、招待状を通じてだけでなく、会場での演出の一つとして取り入れることでさらに登録したいという雰囲気を高めていく。各席にQRコードを添付したカードを置いておき、受付から披露宴開始までの間にゲストへのプレゼント企画として案内。そこで登録してもらったのち、披露宴中に当選者を発表するなどの演出によって、出席者に対して自然と登録を促していく。
「結婚式に行くと、披露宴開始までは席次を見る程度で、暇を持て余している人もいます。その時に携帯でプレゼント企画に応募してもらえれば、当選発表の時にも盛り上がります。データ収集においては、いかに積極的に登録してもらうかが重要となります。」(妹尾氏)
プレゼント企画は、会場側からのものだけではなく、スポンサーを募ることも可能だ。スポンサーにとっては簡単なアンケート収集ができ、かつデータベースが取得できるとなれば結婚式という場所に集まる同年代の予備軍へのアプローチが出来るという点でも魅力的と言える。例えば自動車メーカーとコラボして、一年間分のゲストの中から1 名に車プレゼントといった企画も出てくる。
自発的に登録し、さらに個人情報利用のボタンをチェックしたデータであれば、その後にデータベースとして活用できる。カップルのHPであっても会場が提供しているものであることを明確にしておけば、会場から様々な情報が送られてきてもゲストが困惑することも少ない。
「もともと結婚式の場合には、ゲストもまた美味しい婚礼料理などを体験していることにより会場に対するエンゲージメントは高いわけです。その点、レストラン利用の案内などを送れば、すぐに自分が参加した結婚式の会場であることを認識し、しかももう一度食べてみたいと来店してもらえる可能性も圧倒的に高まります。このメリットを新規事業でも発揮するには、やはり資産となる利用者のデータベースをより多く収集していくかという意識が大切で、そこで大きな差が生じてくると考えられます。」(妹尾氏)
妹尾氏は自らのビジネスモデル特許の仕組みを、会場やサポート企業との連携によって、商品化していく支援を進めていく。 次回7 月21日号は、特許を活用したお祝い金受け渡しに関する式場にメリットあるビジネスモデルを紹介する。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月11日号)

