LISTEN to KEYMAN

キーマンに聞く

第3回《ブライダル業界のブランディング入門》情緒的価値まで定義付けが必要【グロウ・リパブリック 代表取締役 宮村岳志氏】

第3回《ブライダル業界のブランディング入門》情緒的価値まで定義付けが必要【グロウ・リパブリック 代表取締役 宮村岳志氏】

前回の情報収集フェーズの次の段階として、開発フェーズが位置付けられます。様々な方法で収集、分析した情報に基づき、自社ブランディングを開発していくという段階です。

 

ブランドの開発については、まずターゲット・ペルソナを確定していきます。ブランドのターゲットとなる顧客層をしっかりとイメージする作業が求められます。それを進めていくうえで押さえておくべきは、機能的価値と情緒的価値です。

機能的価値とは、ブランドから得られる具体的な効用、どんなサービスを提供できるのかということ。ブライダル会場で考えた場合には、例えば料理を強くしていこうと考えます。そうなると、顧客に対しては、ここに来れば完璧な料理が食べられるという価値を提供することができます。これが機能的な価値です。それ以外にも、最高のサプライズを会場として強化していく。そのために、5分に1回感動できるようなサプライズを提供していくなど。情報収集によりマーケット情報が明らかになったからこそ、差別化を踏まえながらどんなサービスを提供すべきかを開発していきます。

 

一方で情緒的価値とは、そのサービスを受けた時に顧客がどんな感情になるのかという側面です。仮にアットホームな会場を作ったとして、そこにいる顧客が実際にどんな感情を持つか。エレガントで豪華な内装にすることで、何を思わせるのか。そのポイントとして、施設デザインは機能的価値なのですが、そこに情緒的価値の発想が入っていなければ、本来提供しようとしていたものが間違った形で伝わってしまう可能性があるということです。だからこそ、まずは機能的価値と情緒的価値の両面をしっかりと定義付け、そこから様々な要素を作りこんでいく必要があります。

何故、ブランディングにおいてこうした基本的な部分を押さえていかなければならないのかを理解するために、スターバックスの事例を考えてみます。スターバックスのターゲット・ペルソナは、忙しい毎日を過ごす都会的な人たちに商品を提供していくというところにあります。では、機能的価値、情緒的価値とは何なのか。

まず機能的価値については、洗練された空間と、おいしいコーヒーを提供するというところにあります。スターバックスの空間デザインはどこもスタイリッシュであり、ファシリティにもこだわっています。また主力商品のコーヒーに至っては、こだわりを持ったおいしいものを提供しています。

 

では、情緒的価値はどうなのか。そのサービスを受けた顧客は、心地よく、リラックスできる時間を過ごすことができます。もう一歩進めると、スタイリッシュな空間、美味しいコーヒーを片手に過ごすことで、クリエイティブで自由な自分を表現できるという感情さえ抱きます。まずはブランドとしてこの二つの価値をしっかりと押さえているからこそ、そこから様々な要素にも展開していきます。その一つが、スターバックスで働く従業員に求める、ブランドパーソナリティです。

スターバックスの空間・コーヒーにもこだわりを持った機能的価値に対して、どのようなパーソナリティが求められるか。さらに顧客が感じる情緒的価値を踏まえて、どのようなサービスをすべきなのか。都会的でありこだわりも持ちながら、フレンドリーであることという定義が出来てきます。

さらにブランドプロミスという、顧客への約束も決めます。スターバックスの場合には、顧客のサードプレイスとして豊かでうるおいのある価値のある時間を提供することを約束しています。この約束があるからこそ、世界中どの店舗に行っても、美味しいコーヒーを片手に、いつでもくつろげて作業もできる場所になります。

ブランディングにおいて、こういったことを明確に決めておかないと、働いている従業員の方針もバラバラになると共に、本来目指すべきではない方向に動いてしまう人も出てきます。たった一人でもスターバックスが提供するものと異なる動きになれば、世界中どの店舗でも同じ価値を提供することが出来なくなります。これはマニュアルによって徹底する以前に、ブランディングを従業員に伝えることが大前提となります。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、12月21日号)