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キーマンに聞く

連載5《T&G岩瀬賢治社長のブライダル経営者サロン》生涯顧客化に注力(ゲスト:迎賓館TOKIWA 館長 齋藤伸雄氏)
結婚式の施行がなくなった緊急事態宣言下でも、従業員に対しての研修を進めていた迎賓館TOKIWA(新潟県新潟市)。その一つとして、新潟県護國神社併設のメリットを生かした、生涯顧客化への取り組みがあった。結婚式から神社へ、神社から結婚式への流れを強化するために、【絆物語】というプロジェクトも発足した。T&G岩瀬賢治社長のブライダル経営者サロン第5回のゲストは、齋藤伸雄館長を迎え、生涯顧客化への取り組みを語り合った。
安産祈願や七五三の利用
――現在迎賓館TOKIWAでは、神社との一体化による生涯顧客化を活性するプロジェクトを推進しています。
岩瀬「生涯顧客化に関してですが、式場利用者を初詣やお宮参りなどの神社の儀式に招くというものですか。それとも神社に来る人に式場利用を促進していくという目的ですか。」
齋藤「両方が大切だと考えています。私達の強みは、神社と式場が併設し、写真部があって、料理部門も子会社化していることです。神社を中核とした生涯顧客化を考えていけば、結婚式で利用した夫婦に、安産祈願や七五三などの人生儀礼。初詣もあれば、家を建てる際の地鎮祭、厄除けなどでも利用してもらうチャンスがあります。これまでは、それぞれの部署の垣根もあり、なかなか一体化して進められませんでしたが、一度どこかで利用してもらった顧客に、その後も来てもらうための戦略として全体で協力しながら推進していくべきだと。何しろ、戦後から神前結婚式を始めていたことで、いまや親子3代でお付き合いしてきた歴史があるわけです。この強みである接点を、もっと太い絆にしていこうと動いています。エリア内の他の式場やホテルとの差別化のためにも、神社ていくという目標を掲げ、【絆物語】の名称でプロジェクトを立ち上げました。」
岩瀬「神社という核があるのは、私達から見るとものすごくうらやましいです(笑)。私も、結婚式で接点を持てたのであれば、その後の出産、ライフイベントでも当社を利用してもらえるサービスをきちんとしていきたいという考えです。そもそも、私たちの結婚式場で結婚をしたカップルが、幸せに暮らしているのかということが実際にはわからないわけです。世の中では3割が離婚していますが、T&Gで結婚式をするとそれが半分になると言ってみたい気持ちもありますし。一方で、社員はカップルの幸せを願って一生懸命仕事をしているわけですから、結婚式後もカップルと繋がって現状を確認できるようにするために、CRMの仕組み作りに取り組んできました。」
――生涯顧客化の基盤として、顧客管理システムCRMの仕組みは大切です。何かイベントなどを実施するにしても、リストを出して、一枚一枚DMを発送するなど現場の手作業では手間も大きいですから。
ママイベントは24回予定
岩瀬「最初に取り組んだのは、顧客に対して情報を提供していくこと。例えば、イベント開催についてDMを送付する、プランナーがメールを送るといったことは以前からしていました。それを、デジタル化して効率的にできるように力を注いだことで、結果として現在は顧客の個人情報の取得率が95%に達し、その数は11万人となっています。誰の手も煩わせず、イベント開催の情報が自動で顧客の手元に届く仕組みです。そのデータを活用して、様々な取り組みを進めています。結婚式を開催した会場で、記念日に食事を提供する、アニバーサリーレストランもその一つ。アニバーサリーレストランの利用者は年間5000名で、1人当たりの単価は1万円ですから、全体で5000万円の収益に繋がっており、今後も利用は増えていくと予想しています。この取り組みは、成約したカップルがメニューを決めるための試食をする時に、同じ会場内に席を用意することで、運営に関わる余計な手間もかかっていません。集客、運営の手間がないことで、店舗スタッフが開催に対して躊躇していないことは大切かと。その他にも、赤ちゃんがいる女性向けのイベントは、上期にコロナの影響でできなかった分、下期には24回の開催を予定しています。写真を撮るだけのイベントも随時開催し、1億円以上の売上を見込んでいます。もちろん会社全体の売上に比べれば一つ一つの事業は小さいわけですが、年々利用者が増えていくことにより結果として生涯顧客に繋がっていくはずです。その間にホテルの開発ができれば、宿泊などの利用も見込むことができ、この先7年を見据えたストーリーとして重要だと考えています。」
齋藤「私たちは神社、結婚式場、写真それぞれで顧客データを集めてはいたものの、組織作りや活性化に対しそれほど熱心でなかったのも事実。というのも、名簿を作っていたとしても活用方法を見出せていなかったため、将来あったほうがいいだろうという程度の考えでした。【絆物語】を推進するにあたって、やはりベースは名簿です。自動配信はもちろん、ターゲットを絞り込んでセグメントできるような形をとれば、活用方法はいくらでもありますから。結婚式は500、600万円の売上になるため、どうしてもそれ以外の小さな売上をおろそかにしがちですが、ここは発想を変えて、年間5000万円でいいからその事業をいくつ作っていけるのかを重視。小さな売上でも、それが10集めれば5億円になりますから。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、12月1日号)

