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~Serviceの世界 連載5~見せる機会がなくても身につけておくべき“技術”【スギハラサービスクリエイツ 東京ステーションホテル責任者 飯塚晃貴氏】

~Serviceの世界 連載5~見せる機会がなくても身につけておくべき“技術”【スギハラサービスクリエイツ 東京ステーションホテル責任者 飯塚晃貴氏】

 クライアントである東京ステーションホテルで同社のサービス責任者を務める、スギハラサービスクリエイツの飯塚晃貴氏は、学生時代からサービスの仕事をスタートし、キャリアは25年を迎える。千葉県のホテルで、伝統的なサービス技術を身に着け、現在でも歴史あるホテルでそれを発揮することも。同時に若手スタッフの指導も担っている。プロフェッショナルとしての技術を披露
する機会が少なくなっている現在であるが、プロとしての細やかな振る舞い一つでどう見えるかが変化する。そこに喜びを見出せるかどうか。

【プロフェッショナルの技術】
 「私が育ってきた時代は、大皿でテーブルまで運び、顧客の目の前で一つ一つ取り分けていました。技術を習得するために、サービススプーンの持ち方から始め、マッチを箱から出し入れする練習をしたものです。そんなに簡単に出来るものではありませんから、それこそ誰かと食事に行くとつい見せたくなる(笑)。東京ステーションホテルでは、こうした技術を披露することもあるのですが、私の習ってきたアメリカンスタイルに対し、ここではジャパニーズスタイル。初日にその違いの洗礼を受け、学生気分に戻って練習しました。」
 「取り分け一つとっても、技術がなければ時間がかかってしまう、魚の身が崩れてしまうことも。以前働いていたホテルでは、ベイクドアラスカを見せることもありました。昔取った杵柄でスムーズにできる人もいれば、全くやったことのない人もいる。アイスを溶かすためのぎりぎりの温度調整や、炎のコントロール。慣れていない人だと、炎が小さかったり、すぐ消えてしまう。炎に驚いて前髪を焦がしてしまうなど。サービスのプロフェッショナルとしての技術は、機会が少なくなったとはいえ、やはり身に着けておくべきでしょう。」
【モチベーションアップ】
 「今のサービスはお皿とドリンクを提供する。ただその中でも、例えばグラスを置く際にワンクッション置く、ちょっとした指先の角度などを若い人たちに伝えています。提供の仕方で、プロっぽいかそうでないかが変わってくるため、そこに喜びを見出すよう導いていくことが、モチベーションアップになると。個々の性格を考慮しながら指導しています。若い男性には、こんな持ち方、サーブがかっこいい。福祉系の仕事に興味のある女性スタッフには、ありがとうと言われようなど。単純にお金を稼ぎたいという人には、それならば稼ぐためにもスキルを上げるしかないと話しています。」
【想像を超えるリカバリー術】
 「以前、婚礼のカップルが、関西のテーマパークの紙袋に小物などを入れて持ち込まれました。結婚式終了後、荷物を戻す時にたまたまその袋が見当たらなかったのですが、そこまで大事なものではないだろうと考えていました。ところが後日、大事な袋が無くなっているとクレームがありました。急遽、大阪の知人に電話をして、全く同じものを調達してもらったことを覚えています。それ以外にも、スタッフの不注意でレストランの顧客のブランドのバックを破損してしまったこともありました。完全にこちらのミス。ゲストはそのまま旅行に旅立つ予定だったため、代わりのバックをすぐに用意し、破損したものは一旦預かり、たまたまショップに知り合いがいたため何度もお願いをし、帰国するまでに直してもらいました。サービスをしていれば、当然細かいミスもあります。大切なのはその後のフォロー。その人の想像を超えることができれば、結果としてファンになってくれるわけです。」
【記憶に残る笑顔】
 「やはりサービスは笑顔が一番大事だと思います。5、6年前ですが、軽井沢旅行のついでに先輩が働いていたホテルに立ち寄りました。まだキャリアの浅いだろう、若いベルボーイの男性がいたのですが、彼の笑顔に私も妻もメロメロになりました。その時どういう旅行だったのかという記憶は、だいぶ薄れているのですが、彼の笑顔だけは今でも鮮明に覚えています。私達も笑顔一つで、ホテルに来ていただいたゲストの思い出にもなれるわけです。それが一生に一度の結婚式であれば、なお素敵な思い出として残るわけです。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、9月11日号)