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〔フェア内セミナー:プレイバック〕6年の期間と延べ12万人超の人手をかけた一大プロジェクト【富士屋ホテル 経営企画部部長 大石 泰生氏】

〔フェア内セミナー:プレイバック〕6年の期間と延べ12万人超の人手をかけた一大プロジェクト【富士屋ホテル 経営企画部部長 大石 泰生氏】

 富士屋ホテルは2018年4月1日から休館し、2年3カ月をかけて改修工事を実施。2020年7月15日にオープンしました。
 私は「耐震改修工事対策室副室長」としてこのプロジェクトに携わりましたが、今回はその総まとめとして、関わった皆さんへの感謝を込めて振り返ります。

今回の改修工事は、石本建築事務所や鹿島建設をはじめ、134社の協力会社によって進められました。全工期における人工は延べ12万6000人、多いときには1日800人のスタッフが携わりました。

富士屋ホテルは、傾斜地である2万5000㎡の敷地に、明治24年竣工の本館や明治39年竣工の西洋館、昭和5年竣工の食堂棟、昭和11年竣工の花御殿といった有形登録文化財の建物をはじめ、新館フォレスト・ウィング、国道1号線沿いに設けられたベーカリー&スイーツピコットなどの建築群によって成り立っています。建築の専門家からは、明治以降それぞれの時代に造られた建物が一つのホテルを形成していることは非常に稀であると評価されました。

 

工事の計画には概ね4年ほどを要し、プロジェクト全体は6年あまりの時間をかけて行われました。2013年施行の改正耐震改修促進法が契機ではありましたが、実は2002年に湯本富士屋ホテルが耐震工事を行っており、当時から宮ノ下=富士屋ホテルはどうするのか、という議論が社内にありました。

工事の実施にあたっては、館内の構造や設備などを考慮し、利用客と働くスタッフの安心・安全のためにも全館を休館することとしました。

今回は、唯一新棟として「カスケード・ウィング」を設けましたが、基本的には休館前と変わらない景色を保っています。今後50年・100年と変わらない景色を残し、富士屋ホテルらしさを探求・保存し続けることが本計画の目的となります。工事のコンセプトは「THE富士屋・唯一無二を未来に紡ぐ」。ここをリスタートの機会として、歴史と伝統的なサービスを引き継ぎつつ、快適に滞在できる空間と設備を用意する。古くて新しい富士屋スタイルを生み出す、時を超えて愛され続けるという視点をもって計画を立案しました。

 

変えないものと変えるべきもの

まず、私たちが取り組んだのは「変えないもの」と「変えるべきもの」を振り分けることでした。前者の代表は登録有形文化財である本館・西洋館・食堂・花御殿の4棟。関東大震災をはじめとする天災や戦火も乗り越えてきたこれらの建物は、いずれも富士屋ホテルを象徴する存在です。

一方、後者の代表例は厨房です。改修前は大正9年に造られた厨房棟内にありました。高い天井と天窓を備えた明るい空間でしたが、耐震補強を行うと床の段差などが発生して業務やサービスの面で影響が出ること、また、真夏になると室温が40℃に達することもあることなどから、思い切って新棟「カスケード・ウィング」への建替えを決断。刷新された厨房には、フジマックの施工により最新の設備機器を導入しました。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月21日号)