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38年の歴史を重ねたプライドを武器に回復図る【ホテル日航大阪 代表取締役社長 総支配人 呉服弘晶氏】

38年の歴史を重ねたプライドを武器に回復図る【ホテル日航大阪 代表取締役社長 総支配人 呉服弘晶氏】

ブライダルはもちろん、宿泊、一般宴会、レストランとすべての部門で大きな打撃を受けているホテル。GO TOにより多少の回復は見られるものの、一方でシビアなコストカットを余儀なくされているところは多い。そうした中で、ホテル日航大阪(大阪市中央区)の呉服弘晶社長は、「苦しい時にこそ考える」と前向きな姿勢を崩さない。ホテルは営業を継続し、給与も減らすことなく、その上で、何ができるのか考えることを従業員に求めてきた。従業員もまた、呉服社長の前向きな姿に触発され、ポジティブな発想でアイデアを出している。「今だからこそもっと元気に」と語る呉服社長のこれまで、これからの対応を直撃した。

昨年は宿泊稼働率95%

――大阪のホテルは、もともとインバウンドの宿泊が大きなウェートを占めていましたが、春以降の渡航制限の影響で非常に厳しいとの声も多いです。

呉服「当ホテルも同様に、昨年までは黙っていてもインバウンドが予約をしてくる状態で、宿泊稼働率も95%前後で推移していました。もっとも私自身は、そうした状況にリスクがあるだろうとも考えていました。今回のコロナだけでなく、政治などの問題により中国からのインバウンドがストップしてしまえば、大きな影響があるわけですから。その点、今回のような事態が起きたからこそ、今何をするかが大切だと考えています。1 つは、国内マーケットに今後どう取り組んでいくのか。現在は、セールス部隊が動いていますし、今の経験はコロナ後にも大きな力になってくると感じています。」

 

――緊急事態宣言発令時も施設を完全に閉めることなく、さらに従業員に対しては給与も100%を支給してきたそうですが。

呉服「コロナ禍によって、それまで90%を超えていた宿泊稼働率は5%以下にまで落ち込みました。とは言え、650室あるホテルに、30名前後の人が来てくれていたわけで、そうした人たちを大切に思うからこそ、ホテルを閉めるという選択肢はありませんでした。当ホテルは38年の歴史があり、実は私はオープン当時にここで働いていました。2年前に金沢から戻ってきたわけですが、当然思い入れもあり、また38年のプライドから絶対に閉めないと従業員に宣言しました。大阪のホテルでも完全休業にしたところは多く、それによって採算を合わせるのも正解ですが、私は頑張ってでも営業していくという選択をしました。厳しい状況だからこそ、逆に元気に営業していこうと。同時に、徹底的に考え知恵を出した時期でもありました。給与に関しても100%を維持したほか、ボーナスも支給しました。250名の社員には家族もいるわけですから、そうした人たちも含めて会社として支えていかなければなりません。そもそも昨年までは宿泊が好調であったため、今年になって苦しくなったからと従業員の給与を減らすという対応はすべきではないと考えました。今年の赤字は必ず取り戻せますから。」

 

W顧客から感謝の電話も

――緊急事態宣言中の5 月に、ホテルの窓をハート形にライトアップしました。

呉服「大阪ミナミの代表的ホテルである私たちが、頑張っている医療従事者や社会に向けて何かメッセージを出したいと考えました。点灯する部屋は、まず1重でハートを作ったのですが、あまり目立たなかったため2重に。医療従事者に向けて、ブルーに出来ないかなど、全員が試行錯誤しながら当日は東西どちらからも見えるようにライトアップしました。ハートを見た近くのマンションの住人からはありがとうという電話が入り、ウエディングの顧客からも感謝の連絡がありました。高速道路等からも見ることが出来る目立つ建物であることで、メッセージを伝えるという使命は十分に果たせたと感じています。」

 

――緊急事態宣言解除以降の回復状況はいかがですか。

呉服「宿泊に関しては、7月からのGOTOキャンペーンの影響で少しずつ回復していますが、まだ稼働率は20%程度です。もともと大阪ミナミは、インバウンドが多いエリアでしたし、その点ビジネスユーズが多いキタと比べれば回復は遅いですね。実際に、現在でも休業しているホテルは多いですし。宿泊については、これまで力を入れてこなかった国内セールスに取り組んでいます。ここ数年はインバウンド頼みで国内セールスもしてこなかった面があり、エージェント受けもよくなかったと考えられます。だからこそ、今しっかりと対応していくことが大切です。一方、9月に予算をクリアしたのがバーです。再開オープンは最後だったのですが、ホテル内のバーということでしっかりと感染対策をしているという意識の高さが評価されたと分析しています。固定客を持っているという強みもありますから。一部門でも予算をクリアしたことで、ホテル全体として活気も出ています。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、10月11日号)