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キーマンに聞く

~Serviceの世界 最終回~人を観察しおもてなしに繋げていく【エイチ・ディ・エス 山梨事業所 所長 近藤清彦氏】 

~Serviceの世界 最終回~人を観察しおもてなしに繋げていく【エイチ・ディ・エス 山梨事業所 所長 近藤清彦氏】 

【宴会で得た達成感】
 「地元のホテルに手伝いに行ったことがサービス業界に入ったきっかけです。配属されたのは宴会部門。ランナーからのスタートでした。当初からホテルを仰々しく感じていたため働くことに抵抗もあったのですが、ランナーはその宴会をコントロールしていくものと考え始めて、料理を運ぶだけの仕事とは思わなくなりました。配膳のポイントは、30分後にどういう状況になっていたいのか予想をして動くこと。宴会中は想定外のことが起こります。顧客のタイミングに合わせて、メイン料理を予定よりも早く出さなければ行けない場合も。そういった時に宴会場の皿を下げつつ、料理の仕上げの指示を厨房に出しておくなど、間をつないで調整することに達成感を感じていました。ランナーの仕事は一つ一つの宴会を何事もなく創り上げる〝クリエイター〞だと考えていました。」

【ホテルマンを演じる】
「サービスの責任者になって以降、面接も担当しますが、新人には『憧れのホテルマンを演じてみて』と言っています。勤務初日は、『顧客が喜ぶことは何なのか』、それだけを考えてもらいます。その結果、周りのスタッフやゲストの動きを観察し始める。自然に学ばせることが大事だと思っています。私がホテルでアルバイトを始めたときも、周囲を見て考えるようにしていました。これをやれ、あれをやれと上司から言われて、その対応しかできないようなスタッフにはなってほしくないと。一人一人が自分で考え、成長する現場創りを目指しています。」
「20代後半はホテルの現場を離れて、結婚式場の支配人として立ち上げに携わっていました。教育も担当していたのですが、一切スタッフの身なりには口を出しませんでした。伝えていたのは、その会場のコンセプトを指標に、それに合わせた格好にしなさいと。この綺麗な式場で、アクセサリーやネイルまで気の届いた人と結婚式の打合せをしたいと思わせるようにと伝えていました。誰もが羽目を外すことなく、清潔な身なりをしていましたね。サービスの本質は人ですから、個人の考え方を尊重する職場を徹底しています。」

【100%のおもてなしはない】
「この業界に20年以上いますが、おもてなしは奥が深い。上司からも『100%の接客はありえない。自己満足かもしれないぞ』と言われていました。良かれと思ってやったことが、実は悪い印象を与えていたということも。例えば料理を提供する際。食事を出す前に『こちらは○○で、食材は産地直送の〜』と伝えるのか、後に言うのかで違ってきます。前者では食事に唾液が飛んでしまう可能性もありますし、後者では食事の前に説明してほしかったとクレームに繋がるかもしれない。こういったおもてなしの善し悪しを見極めるには人を見るしかないでしょう。私は顧客がメニューを見ている時に、彼らの動きをじっと観察するようにしています。例えば、アラカルトなのかコース料理のページを見ているのか、肉と魚どちらのメニューに注目しているのかなど。魚を食べたいと思っている人に、『本日のおすすめはラム肉の…』と言っても仕方ないですから。『魚でしたら…』とさり気なく薦められるほうが心地よいでしょう。」
「私自身も父親になり、サービスの際に親目線で痒いところに手が届くおもてなしができるようになりました。職業病なのか、最近ではフードコートでも同じような目線で、顧客に安心して食事をしてもらえるにはどうしたらいいかを考えてしまいます。つるつる滑る床のため、この椅子は危ないから気をつけてくださいと声をかけてしまいそうになりますね(笑)。心地良いおもてなしは何かを、今後も追求していきます。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、3月11日号)