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キーマンに聞く

:連載100:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]『今春のブライダル業界を取り巻く最新動向4選』【株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏】

:連載100:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]『今春のブライダル業界を取り巻く最新動向4選』【株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏】

ブライダル事業に関連する最新法令を中心に執筆してきたこのコラムも、今回で100回目。この節目を迎えることができたのも読者の皆さんのおかげです。感謝の気持ちを込めて、この春に発生している最新動向を4つご紹介いたします。

 

最新動向① カスハラ防止条例がついに施行

 

2025年4 月1 日付で東京都、北海道、群馬県その他の自治体において「カスハラ防止条例」が施行され、該当の自治体に所在地のある事業者を中心に、婚礼現場でのクレーム対応の在り方が大きく変わりました。また、今国会では新たに「カスハラ対策」を事業者に義務付ける方向での法改正が予定されていること、すでに厚生労働省が「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を制定し公開していることから、対象とならなかった地域の事業者にとっても、「カスハラにどう備えるか」は喫緊の課題と言えるでしょう。

 

最新動向② 今国会で下請法が改正見込み

 

今国会で「下請けいじめ」を規制する下請法が大幅に改正される見込みです。下請法は、発注事業者がその優位な立場を濫用して、下請事業者に無理を強いることや、代金の支払いを遅延することを禁じる法律です。直近においても、結婚式場運営事業者に対しパートナー事業者におせち料理やディナーショーチケットを強制的に販売したとして、勧告処分がなされたばかりです。

主な改正点としては、上下関係をイメージさせる「下請け」という用語自体を使用しないこととするとともに、ブライダル業界に特に影響が大きいものとしては「適用要件の拡大(資本金要件以外に社員数用件が追加)」と、「買いたたき対象の拡大(協議なしに下代を一方的に決定すること等が禁止事項に追加)」が挙げられます。

今後国会での審議を経て改正内容は決定されますが、ブライダル業界における「会場」と「パートナー」との取引関係のあり方に大きく影響が及ぶことは間違いなく、注目する必要があります。

 

最新動向③ フリーランス保護法に基づく初「指導」

 

公正取引委員会は、ゲームソフトウェア業、アニメーション制作業、リラクゼーション業及びフィットネスクラブ業の4 業界の45事業者を対象に、昨年11月に施行されたフリーランス保護法に違反する疑いがあるとして、3 月28日付で同法を根拠とするものとしては初となる「指導」を行いました。指導の内容を確認してみると、下請法違反で摘発されるようなあからさまな「下請けいじめ」の事例というよりも、「契約書や発注書の記載、発注方法、支払期日の定め方等の是正を求める指導」という、ブライダル業界においても日々の運用で「ありがちな違反事例」ばかりです。先に紹介した下請法改正の流れもあいまって、今いかに国が「下請け、フリーランスいじめの撲滅」に向けて本気になっているかの証左であると言えます。

 

最新動向④ 「ステマ広告」で摘発多数景品表示法

 

2023年10月に「ステマ広告」が禁じられて以降、違反として摘発される事例がかなり増えてきています。幸いブライダル事業関連の摘発事例は存じ上げませんが、「口コミ」や「お客様の感想」を装って実質的には企業広告に該当する情報を発信する行為は、消費者の自由な判断を阻む「ステマ広告」として厳しく取り締まられています。くれぐれもご注意ください。次回以降も、ブライダル業界の皆様にとって有意義な情報を発信していけるよう全力を尽くします。引き続きご愛読をお願いします。

 

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月11日号)