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連載7〔Yumi Katsura千里眼〕デザイナー、作り手の育成(ユミカツラインターナショナル 代表取締役社長・デザイナー 桂由美氏)

連載7〔Yumi Katsura千里眼〕デザイナー、作り手の育成(ユミカツラインターナショナル 代表取締役社長・デザイナー 桂由美氏)

 ウエディングドレスデザイナーという仕事を、社会に認知させてきた桂由美氏であるが、それに続く影響力のある若手デザイナーの登場を心待ちにしている。国内のドレスが多彩になり、選択の幅が広がっている一方、モノづくりの観点からなかなか次世代のデザイナーが登場していないのも事実。連載7回目は、メイドインジャパンの必要性。

――ファッション全体に言えることでもありますが、ウエディングドレスに関しても工場の海外移転が進み、国内で大量生産に対応している企業もわずか1社となっています。こうした状況では、作り手はもちろん、デザイナーもなかなか育ちにくいとの思いのようですが。

桂「1993年に式服における和洋の比率が逆転し、ウエディングドレスを取り扱う会社も数多く登場しましたが、他のファッションと同様に中国に生産拠点を移転する動きが加速していきました。最近では中国の人件費も高騰してきたことで、さらに安いベトナムや他の南アジア諸国に移っています。そうなると、ドレスをイチから製作した経験のある日本の人材も、自ずと限られてきます。作り方を知らなければ、自分の描いたものがどのような仕上がりになるのかも分からないわけで、デザイナーが育つ環境という点では非常に厳しい状況といえます。」

桂「また最近では、NY、ロンドン、ミラノのブライダルフェアを見学し、人気になりそうなドレスをセレクトして輸入する会社が増えています。バイイングのセンスがあれば、ドレスを取り扱える環境となっていますが、そうしたことにより日本でデザインを描く機会も少なくなっているのも事実です。ブライダル業界全体の、生産拠点の海外移転、海外からの輸入という最近の潮流を見ると、日本のドレスデザインの将来に不安を感じてしまいます。」

 

――メイドインジャパンは、国、地域の伝統をデザインに生かす上でも必要とのことですね。

桂「ファッションも文化の一つです。各国の伝統・風習と、グローバルを上手に折衷していくモノづくりが、ウエディングドレスのデザイン、製作にも求められます。例えば、最近10年間は腕や胸、背中を大胆に露出したセクシーなウエディングドレスが人気でした。海外で増えていたデザインを、輸入して日本に広めていったわけですが、考えるべきは何故海外でこうした潮流となってきたのか。実は多くの欧米諸国で、教会で実施する挙式が年々減少しています。こうした国々ではウエディングドレスは購入するわけですが、教会で挙式を実施することを念頭に置いた場合には、神を意識して極力肌の露出を控えたものとなります。ところが教会での実施率が減少してきている昨今、ドレス選択の基準も夜のパーティとなり、そうなるとセクシーなものが中心となってきました。ドレスの潮流には、こうした文化的な背景があるわけです。」

 

桂「では日本はどうか。レンタルが一般的で、かつ独自のお色直しという文化もあることから、当然ドレスの使い方にも違いが出るべき。最近になって、イギリスの伝統的ロイヤルウエディングが続いたことから、長袖で露出を控えたドレスも見直されていますが、やはり式服である以上はそうした配慮が必要です。チャペル挙式であれば式服はそれに沿ったものを選び、セクシーなドレスに関しては、披露宴のお色直しで着るなど、日本だからこそできる提案があります。海外の新しさ、個性ばかりを追求するのではなく、各国の違いを把握した上で、どんなドレスを提供していくかを考えることが大切かと。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月11日号)