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連載6≪ヒト売り時代のセールス講座≫フォトグラファーの三つのスキルを伝えていく【VIVACE st 代表 衣川 雅代氏】
写真について、まずはカメラマン、それともフォトグラファーと呼ぶか。プロフェッショナルな専門性と芸術性をリスペクトして新郎新婦に紹介するのであれば、フォトグラファーと呼ぶ方が価値は上がると考えられます。その上で、ブライダルフォトグラファーのスキルは、技術、ウエディングの専門性、人間力の三つが重要です。プランナーは、この三つに紐づいたフォトグラファーの魅力を、分解して伝えていく使命があるといえます。
一つ目の技術スキルですが、今の時代、素人でもスマホで良い写真を撮れ、加工もできます。ただ屋外と屋内では光が異なり、時間帯や季節によって量や角度も違います。それに対応するため露出も変えているなど、スマホとは違う価値をきちんと伝えるべきです。機材についても、一眼レフ、ミラーレスなど、レンズは複数種類を使い分けています。ストロボなどのライティング機材も含めて、必要な理由をプロに聞きその役割を把握しておけば、価値を語れる豆知識となります。他にはポージング力、人物だけでなく料理や施設の撮影対応力など、会場のプランナーにとっても学びは多いです。
二つ目はウエディングの専門性。儀式の意味や進行を理解していなければ、ただ撮っているだけの写真になってしまいます。また、瞬間を逃さない判断力も重要で、一生に一度のシーンは二度と訪れません。そのために前日から水分を控えたり、食事の量や時間を調整するなど、決して現場を離れずに最高のパフォーマンスを発揮するための準備をしています。ベストポジションで撮影するためのバランス感覚、時間管理も専門性に含まれます。
三つ目の人間力については、サービス精神が不可欠です。短時間でコミュニケーションを取らなければならず、挙式前に新郎新婦の親に挨拶に行くフォトグラファーもいます。特に小さな子どものゲストがいるときに、人間力は非常に表れます。子どもを惹きつけるために、手を叩いてこちらを向かせようという人もいますが、それよりも事前にプランナーに聞く、席次表をチェックする、またはパパママに直接聞いて子どもの名前を確認しておき、名前で呼びかけるフォトグラファーはサービス精神が豊かだと言えます。
以上三つのスキルを理解すれば、プランナー自身も「かけがえのない瞬間を創るクリエイター」として考えるでしょう。その意識で写真やアルバムを提案していきます。ブライダル業界では金銭感覚が麻痺しがちですが、写真のアルバムは高いもので30万円を超えることもあります。月収に近い金額であり、この金銭感覚を忘れずにフォトグラファーが提案しやすい環境を整えることは重要なポイントです。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、9月1日号)

