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キーマンに聞く

連載2(前編)《T&G岩瀬賢治社長のブライダル経営者サロン》提供している結婚式の中身を自社媒体で伝えていく(ゲスト:アンジェ21 代表取締役 野村広子氏)

連載2(前編)《T&G岩瀬賢治社長のブライダル経営者サロン》提供している結婚式の中身を自社媒体で伝えていく(ゲスト:アンジェ21 代表取締役 野村広子氏)

 5年前からゼクシィを始めとした情報媒体への出稿を取り止め、自社集客に舵を切ったアンジェ・21(島根県出雲市)のアンジェグレースガーデン。10万人程度の小規模な商圏とはいえ、その決断はブライダル企業として思い切ったものだ。一方、情報媒体を活用することで、多店舗展開する各エリアでの集客を図っているT&G。その手法は異なるものの、SNSやWEBへの期待を高めているのも事実。T&G岩瀬賢治社長の対談連載は、アンジェ・21の野村広子社長を招き、自社集客の可能性を2回に渡って紹介していく。(今号は前編)

半年かけてHPを整備

――野村社長が経営するアンジェグレースガーデンは、ゼクシィを全く使わない集客に成功しています。そもそも出稿を止めるに至った経緯は。

野村「2014年から、自社会場の良さを際立たせるような紙面を作りにくいのではと感じるようになり、疑問を抱くようになりました。私は新規接客の現場にも立っているのですが、顧客が求めているものがゼクシィにはないのではと肌感覚で思い、出稿を止めようと考えました。ただ、地域内で自分のところだけが止めて取り残されてしまうのではないかとの懸念もあったため、周囲の会場とも情報交換したところ、多くの経営者が同じような不満を持っていたため一斉に出稿をストップしようとの話になりました。そこから半年間かけて準備をし、フェアの予約ページをしっかりと設けるなど、自社HPでも集客できるような仕組みを整え、2015年に完全に停止。今になって振り返ってみると、2014年にGoogleが『3 H戦略』を提唱したこともあり、WEB集客の道筋が広がったのもタイミングとしては良かったかと思います。」

岩瀬「小さい商圏とはいえ、ゼクシィを止めるのは相当な勇気がいることだと思います。当社でも野村さんのような集客方法を取っているところがあるのかを改めて考えましたが、どの地域でもゼクシィをフル活用しています(笑)。唯一、和歌山の会場は競合他社が3,4か所と比較的少ないため、関西版に出稿しない月もあり、多くても1ページという手法をとっています。他エリアの式場と比較しても出稿量は少ないながらも、マーケットの1割を獲得できています。なかなか思い切った対応は難しいわけですが、広告を大量に出してとにかく接客数を多く獲得していくやり方だけでなく、よりモチベーションの高いカップルにたくさん来てもらう方法を確立していくことが、本来の姿なのかもしれません。」

野村「出稿していた時には、ゼクシィを見て来ましたという顧客はもちろんいました。ただ接客をしていると、こうしたカップルは“表面的な部分”しか見ていないのではと感じることも多く、本当に興味があって来ているのだろうかという疑問もありました。A会場もB会場もアンジェもいいといった感じで、とりあえず見に来ましたという人が多かった印象ですね。」

岩瀬「ハードスペックで選択するカップルが多いのは事実で、実物を確認しに来館しているという部分は確かにあります。ブライダル企業としてもっと見てほしい、提供しているサービスは、少し優先度が下がっているのかもしれません。そこは課題ではと思います。」

 

スタッフから不安の声も

野村「例えば、営業マンが今月はゼクシィnetから何件来ていますという話をしていたわけですが、実際に解析してみると自社のHPに直接流入して、その後ゼクシィnetに飛んでそこからのフェア予約もあったりしました。リンクを貼っていればそうなるのは当然で、10年後、20年後を考えると、自力で生き残っていく術を身に付ける必要があると考えたわけです。」

岩瀬「そうした対応を取れるのも商圏の大きさによりますが、一方で社長がやめようと言っても現場の反対・反発が生じたのでは。やはり媒体を止めれば、集客が一気に落ち込むという不安はあるでしょうから。」

野村「当時は、ゼクシィを止めてどうなるのかという不安の声もスタッフから挙がりました。とにかく、大丈夫だからと納得させましたが(笑)。岩瀬社長は、ゼクシィも含めて、多くの媒体がある状況に対しては、どのように考えていますか。」

岩瀬「大手の企業を中心に集まって、結婚式の素晴らしさを伝えるにはどうしたらいいのかを情報交換しています。ハードスペックを伝えるのは媒体でできることですが、やはり提供している結婚式の中身を伝えることも大切で、そのために各社が協力してサイトの構築などはありえるかもしれません。今のように媒体数が多いことは、ほとんどの会社の課題でしょう。どこに投下していくべきかという範囲が広ければ、それだけコストもかかりますから。本来であれば、SNSなどを活用して自社HPへ流入してもらう比率を高めるのがいいわけです。実際に当社では、このシェア率が年々上がってきており、広告費全体で見れば年間1億5000万円~2億円ほど下げることにも成功しています。現在自社媒体比率は接客ベースで22%程度、成約ベースでいくと25%であり、ここから分かるのは自社媒体から集客できたカップルはモチベーションが高いということ。とはいえ残りの80%は、媒体の力を借りて集客しているわけですが。(笑)」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、9月1日号)