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《Talkセッション》「M&A活性化」これだけの理由【イロドリ×Essentials&COMPANY】

《Talkセッション》「M&A活性化」これだけの理由【イロドリ×Essentials&COMPANY】

 業界の合従連衡の波は、数年前から話題にあがっていた。実際にM&Aも増加しているが、国内の婚姻組数がマイナストレンドの状況にありながら、そのスピードはまだまだ遅いとみる専門家も少なくない。そうした中発生した、新型コロナの感染拡大は、合従連衡の動きを加速化させていくのか。ブライダル専門M&Aのイロドリ(東京都新宿区)の千々木綾社長と、Essentials&COMPANY(東京都目黒区)の江口貴彦代表が未来を検証した。

江口「ブライダル業界では、以前から合従連衡があるだろうと言われてきました。もっとも、これまでは思っていたほど進んでこなかったわけですが、今回のコロナ禍によって大きく変化するのではないかと考えています。厳しい会場も増え、事業承継なども考慮しながら、譲渡も含めて再編のタイミングに入っているのでは。」
千々木「ブライダル業界に特化して4年前からM&Aを手掛け、今年新たに会社を立ち上げました。私自身はそれまでブライダル業界のことはそれほど知らなかったわけですが、マーケットがピークを過ぎると合従連衡が起こるのはどの業界も同じ。ブライダルもその時期に差し掛かっていると考えられました。これまでも毎年M&Aを手掛けてきましたが、ブライダルビジネスの特徴として先々の予約が入ってきます。現状不安がある中でも、先の予約が入っているため、ここで止めるという判断を取りにくい。では、この先本当に売上が高まるのかというと、そのための具体的な戦略が想定されていないケースもあります。それでも予約があるから、とりあえずは続けている。M&Aを考えてはいても、今すぐにということが少なかった中、今回のコロナ禍によって、急速に再編に移ってくると読んでいます。」

 

江口「実際に、企業・会場を売却したいという話は増えているのですか。」
千々木「現状は、具体的な要望は出てきていない状況です。というのも、コロナ感染対策として国が積極的に無担保融資を進めており、当座の資金調達ができています。ただ、この感染がいつ収まるのか不安を抱えている経営者が多いのも事実です。今春の感染拡大によって倒産したブライダル企業も出ていますが、それはコロナが最後の引き金になっただけと考えるべきでしょう。もっとも、なかなか感染が収束しない状況になれば、コロナが根本的な原因となって倒産する企業が増えてくる可能性も。日々の運転資金が間に合わないため国からの融資でなんとか頑張ってはいるものの、その資金を返していかなければならない。何十年もかけないと返せないという額であれば、会社としての存続自体を見切るタイミングがより重要になってきます。」
江口「一時的な資金調達によって存続できても、固定費負担を考慮すれば半年程度でさらに資金不足に陥る可能性もあります。そうなった時に、追加の調達がスムーズにできるか。本来、この夏にある程度の受注ができないと、来年以降の売上も見えないわけです。ただ、その投資にまで資金が回せるか、広告費を削らなくてはならないという状況も多く、早ければ年末にはこのままやっていけないとなる企業が出てくるかもしれません。」
千々木「最近は、大手企業が不採算店舗の切り売りを検討する情報も入ってきています。こうした会社は、今でも積極的に買収したいという意向を持つ一方で、しっかりと売上を取れる店を維持しつつ、苦戦している店舗は撤退するという明確な基準を持つようになっています。」

 

江口「とはいえ、買う側がなかなか手を上げられないタイミングでもあるかと。やはり、出店をしなければならない上場企業が中心でしょうか。現在は、相場も安くなっているとは言え、中小企業にはなかなかその余力もなく、慎重なはずですから。」
千々木「ところが、大手企業も動きにくい現状です。緊急事態宣言前までは、今がチャンスだと積極的に買いたいという企業もありましたが、宣言発令以降はその動きも止まっています。M&Aを仕掛けていくという考えはあるが、足元を考慮すれば社内的にトップが決断しにくい。この大変な時に、M&Aにお金を使うということを発表するのは、社内からの反発もあるでしょうから。とはいえ、現在でも条件のいい案件をピックアップして探している会社もありますし、それも時間の問題でしょう。」
江口「買い手に関して、業界内だけではなく、ファンドや海外資本の可能性はどうでしょうか。ブライダルに関して、ファンドからはあまり人気がないとも聞きますが。」
千々木「当社ではファンドとも取引しており買収を提案していますが、なかなか成約に至りません。ファンドの場合、買収した企業を再建し収益を上げ、3年後、長くても5年後には売却するのが一般的。ブライダルの施設に関しては、再建のための投資も大きくなり、それだけ短い期間での回収は難しいとみられています。ファンドにとっては、気にはなるけどいざ買おうとなるとなかなか一歩が踏み出しにくい業界です。海外資本についても、ブライダルは日本の文化に由来した産業でもあるため、特殊な案件となり手を出しにくい。転用をかけるのも難しいことで、ホテルなどに比べてM&Aの対象としては消極的です。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月21日号)