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《ブライダルAIの波⑤》カスタマーデスクと情報共有【カスタマーリレーション部部長代理 野村 佳子氏】 

《ブライダルAIの波⑤》カスタマーデスクと情報共有【カスタマーリレーション部部長代理 野村 佳子氏】 

 3年前から自社の業務にAIを活用し、その事例・効果をベースにブライダル業界向けAIサービス【WAIC(ウェイク)】の提案をスタートしたプロデュース会社NOVIC(東京都渋谷区)。これまで新規接客や打合せにおいて、どのようにAIが力を発揮しているかを紹介してきた。今回はプランナー業務効率化の肝となっている、カスタマーデスクの対応。様々な問合せに対する受け応えを正確に導く、情報共有部分でのメリットは大きい。

担当可能件数は30件以上

NOVICのカスタマーデスクの役割は、プランナーが提案に集中できよう、様々な問合せに対応している。全国から寄せられる問合せを、カスタマーデスクに集約。いわば進行やサプライズといったプランナーのスキルの生かされる部分以外の電話・メール対応などは、すべてカスタマーデスクが担っている。ちなみに受発注については、サポートプランナーという別部門で担当している。                                                  「プランナーが提案業務に全力を注げる環境を作ってきたことで、残業はほとんどありません。そうなれば、新郎新婦との信頼関係を築くために時間や手間をかける余裕も生まれ、必然的に満足度も高まっていきます。」(カスタマーリレーション部部長代理・野村佳子氏)

カスタマーデスクの存在によって、プランナー1 人あたりの担当件数は、これまでも月に20件は余裕で対応できていた。さらにAIサービス【WAIC(ウェイク)】の活用によって、仮に当日の施行を担当する場合であっても担当可能数は30件以上に高まっている。打合せ内容をAIがすべて記録・保管していて、仮に提案に迷ったときにも新郎新婦のプロフィールや過去データをもとに提案シナリオを生成してくれるからだ。同時にAIは、カスタマーデスクの機能もさらに向上させている。     カスタマーデスクでのAIの活用については、問合せ対応などのデータをすべてビッグデータとして蓄積。電話はWeb電話で録音・保存している。メールもAIに読ませて解析しており、メールやチャットの応答はテンプレート化。返信もそれをコピペするだけで対応可能だ。

「特に当社の場合、プロデュース会社として全国の多くの会場と取引しているため、そこで結婚式をする新郎新婦からの問合せに対する回答は幅広くなります。それについても、会場データをすべて保有しAIに学習させているため、例えば個別の会場に対する『駐車場の場所はどこ?』といった問合せにも、即座に正確な回答が返ってくる仕組みになっています。いちいち会場別のデータを探し出し、また分からないから先輩に確認するといった余分な作業も全くありません。」(野村氏)        プランナー側の打合せはすべて録音・録画をしていて、それを自動でAIに読み込ませると、議事録のような形の【打合せ確認シート】として抽出される(右下参照)。今日決まったことは何か、新郎新婦に依頼している宿題の内容や期限なども含まれていて、内容を確認してもらうために毎回新郎新婦にも送っている。

この打合せ確認シートは、プランナーとカスタマーデスクの情報共有の要にもなっている。プランナーの業務効率化のためにカスタマーデスクを作ったものの、情報共有されていなければ両者で言っていることが違うという事態も発生する。打合せで何の宿題が残っているかをカスタマーデスクで把握していないと、例えば新郎新婦から『乾杯の挨拶を誰にするのか、まだ決まっていなかったと思うのだけれど』と言われた際にも、適切な受け応えは出来ず、結果として不信を招く。

「手入力だと会話をしながら対応できないプランナーもいますし、入力を後回しにしたために大切な部分が抜けてしまうといったことも出てきます。その間に新郎新婦からの問合せがカスタマーデスクに入ってくれば、わざわざプランナーに聞かないと対応できません。その点で録画・録音を自動で読み込ませるのは、リアルタイムで情報が反映されるという点でメリットは大きい。言った、言わないのトラブルが無くなったのも重要です。」(野村氏)

プランナーの打合せで新郎新婦に持ち帰ってもらった宿題、何を待っている状態なのか、逆に新郎新婦が待っていることも、ユニークIDを入力すればシートとして瞬時に出てくる。AI活用によって、カスタマーデスクもプランナーとほぼ同じ解像度で状況を把握できるようになっている。カスタマーデスクだけでなく上長も同様で、進捗を随時チェック可能だ。 録画・録音を読み込ませたAIは、プランナーの提案や質問力に対する課題も明らかになり、自らの接客を振り返り、見直しにも活かされている。

また全接客がデータとして蓄積されているのは、カスタマーデスクの情報共有だけでなく、様々な分析の基になるビッグデータとして資産になっている。以前にも紹介した新規接客のアンケートの読み込みも含めて分析していくと、こういう傾向の新郎新婦にはこういった提案が好まれるといった接客戦略の構築に繋がっていく。

「AIを活用することで、事務処理能力が極端に高くなくても、タスクを進められるようになっています。また自分に課せられている宿題は何か?、顧客に渡していないものは?といった問いを入れると、AIがすぐに一覧で出してくれます。タスクも明確になると共に、対応を怠るとクレームになるからこそ、そうしたリスクも解消されています。」(野村氏)

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、11月1日号)