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  • 社説:潮目
  • 25.04.24

課題を解決する新規事業 プロダクトアウトの発想を払拭

静岡県浜松市で式場・レストランを展開する、鳥善の新規事業が注目を集めている。昨年2 月にベジタリアンカレーのキット【ベジミールキット】を開発し、現在地元の自動車メーカー・スズキの工場の社員食堂メニューとして毎日配達している。ベジタリアン向け食品ということで、海外人材を多数雇用する大手企業やホテルなどからも問合せが殺到しており、今年は同事業の売上も昨年比で3 倍以上を見込んでいる。
この商品は、同社が浜松で展開する【街食堂】での交流から生まれた。【街食堂】は現在42社が会員として参画し、通常のランチ営業だけでなく、地域企業を始めとした地元の交流の場として機能している。毎週開催する会員同士の交流イベントはこれまでに100回を数え、様々な課題を語りあっている。そこで鳥善の伊達善隆社長が聞いたのが、スズキの工場での外国人の食に対する悩みであった。
スズキの工場では、インドを中心とした中央アジアの外国人材を積極的に採用している。ただ日本の食生活に合わないことも多く、特にベジタリアン、ヴィーガンに関しては社員食堂では細かく対応しきれていなかった。専用メニューを作ることもオペレーション上困難であり、そうなるとせっかく採用した海外人材の離職にも繋がっていた。
その話を聞いた伊達社長は、自社の設備、調理人材のリソースを活用して、温めるだけでベジタリアンのカレーを提供できるキットの開発に着手。商品化の際には、スズキで働く海外人材にも参加してもらい、味見を重ねながらより彼らの好みを反映したメニューを作っていった。現在は600円~700円を中心に17種類のメニューを展開。毎日150~200食を販売していて、その評判もあって様々な企業との契約が進んでいる。売上規模は数千万円とブライダルビジネスに比較してまだまだ小さいものの、新たな投資も必要ない、ストックビジネスとしてのメリットは大きい。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月21日号)