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  • 社説:潮目
  • 20.12.12

深刻な少人数スパイラル

 すでに2021年の受注がフル稼働に近い95%まで埋まっているというのが、東京會舘(東京都千代田区)だ。11月の施行率も80%以上に達しており、新規来館は前年並みに戻っている。今年の延期分が積み重なったことで、2021年の見通しが立っており、新春の集客シーズンに関しては2022年の施行をターゲットにしている。

 コロナの影響により、少人数化が厳しい状況だ。ペーパーアイテムの会社に聞くと、発注数自体が大きく減少。招待状、席札などのペーパーは、ロットが増えればそれだけ利益が出る。そのため小ロットばかりを受けても結局赤字になってしまうわけだが、少人数化によってロットの小さい発注ばかりで、会場の平均数も大きく落ち込めばどんどん厳しい状況になっていく。ギフトなど、列席人数に関係するアイテムも、同様に少人数化は深刻な問題である。
 少人数化に関して、そもそも今回のコロナの影響がその理由であるのか。実際には、数年前から少人数傾向が進んでおり、コロナをきっかけに加速したというのが正しい。

 東京會舘の取締役星野昌宏氏は、結婚式までの期間と人数が大きく関連するからこそ、施行までロングスパンの集客を狙った戦略が必要とのことだ。比較的列席人数が多い同施設であるが、それでも半年以内であれば約40名、半年から1年先は60名~100名、1年以上先は100名以上と変化していく。コロナの影響の延期により、枠が空いた夏については、緊急事態宣言明け直後からの集客で直近を埋めていったわけだが、秋以降は施行率も高まってきたことで、半年以上、1年以上先の受注が出来ている。そのため、少人数プランを謳う必要なく、成約に繋がっているのだ。
 新春シーズンに狙う2022年施行の結婚式に関して、すでに新プラン立ち上げも間近だ。東京會舘は2022年11月に100周年を迎えるが、それを記念したプランを予定。その目玉になるのが、100年前の復刻料理メニューだ。エスコフィエから受け継いだ、初代調理長田中徳三郎氏のメニューを再現。現在料理メニューの平均単価は1 万8000円であるが、フルで復刻メニューにした場合は2万3000円となる。(全てではなく、オプションで一品、数品だけを復刻メニューへの変更も予定している)。100年の歴史をブランドとして確立してきた施設だけに、この試みによって2022年の受注にも期待が高まる。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、12月1日号)