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  • 社説:潮目
  • 20.11.11

感情移入しやすい「花嫁の父親目線」味方につける策を

 先日、同年代(40代後半)の知人たちと、結婚式について話す機会があった。テーマは花嫁の父親。A氏には来年大学を卒業する娘がいるが、まだ見ぬ恋人の存在に心配な様子。いつか花嫁の父親としてバージンロードを共に歩くのだと指摘をすると、そんなことは考えたくもないとのこと。いつの日か訪れる最愛の娘の結婚式を想像しながら、切ない表情を浮かべていた。
 もう一人のB氏は、バツイチながらも、結婚を前提にした30代後半のパートナーがいる。すでに相手方の家族にも挨拶をしているそうだが、彼女は初婚でさらに一人娘とのこと。常々、この年で結婚式はしたくないという考えを持っていた。2人が結婚式をしないという考えを持つのはいいが、一人娘をバツイチの男性に託す父親の気持ちはどうか。また失敗しないかなど、様々な不安もあるだろう。さらに言えば、娘を持つ父親として、一生に一度バージンロードを共に歩く機会を夢見ていたかもしれない。2人が勝手に年齢を言い訳にして結婚式をしないという選択をするのは、彼女の父親の思いをどこまで考えてのことかとA氏から迫られ、B氏は父親のために結婚式をすべきなのかもしれないと変容していた。

 先日、とんねるずの石橋貴明の深夜番組に、T&Gの野尻佳孝会長が出演した。結婚式についての話題の中で、石橋貴明が語っていたのが、まさに花嫁の父親目線であった。4人の娘を持つ父親として、「考えるだけでキツイ」。この発言はヤフーニュースでも取り上げられたが、注目したのはそこに寄せられたコメントの内容だ。結婚式に関連したネタに対するコメントは、総じて否定的なものが多い。高額、価値がない、自分達だけが楽しんでいるなど。ところがこのニュースに関しては、同じように娘を持つ父親と思しき人たちからのコメントが殺到し、その気持は分かるという共感するものが多かった。父親にとって、娘は目に入れても痛くない存在である。だからこそ、大切な娘が結婚してしまうことには大きな寂しさを感じ、想像するだけで切なくなる。父親と結婚する娘をテーマにした、東京ガスのCMが人気になった例もある。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、11月1日号)