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  • 20.11.03

142回目の創業記念日に新装オープン【富士屋ホテル】

 箱根・宮ノ下の名門ホテル「富士屋ホテル」(神奈川県足柄下郡)が、2018年4月から2年間にわたって行われていた改修工事を経て7月15日にグランドオープンした。国の登録有形文化財に指定されている建物の価値を守りつつ、耐震補強やインフラ改修など、安心・安全に滞在できる施設としての機能向上を図った。今回のプロジェクトに込められた「次の100年に向けた進化」と「140年余りの歴史の継承」への思いを、溝田正憲総支配人に聞いた。

フロント隣にラウンジ復元「カスケード・ウイング」新設

 ――142回目の創業記念日である7月15日にグランドオープン。外観も館内も改修前の趣がそのまま引き継がれている。
 溝田「今回の改修工事では、建物施設の安全性能を向上させつつ、登録有形文化財としての価値を守るための『復原』を施しました。既存建物は内装材をいったん取り外した上でスケルトンの状態にし、補強材やブレースを入れるなどして構造を強化。その上で補修・修復した内装材や家具を配置しました。」
 溝田「施工を依頼した鹿島建設(東京都港区)は、姫路城大天守など、歴史的建造物の保存・修理を数多く手掛けています。本プロジェクトは鹿島建設をはじめとする関係者の方々の知見と技術によって、文化的価値を優先し次の100年に向けた機能を備えることが叶いました。」

 ――本館1階のロビーエリアは改修前よりも明るくなった。
 溝田「昭和52年のフロント移設時にいったんクローズした『オーシャンビューパーラー』を復元する形でラウンジを設けました。かつては相模湾を望めたことからこの名が付いたのですが、改めてラウンジになったことでロビー全体に自然光が多く入るようになりました。なお、これに伴いフロントはアイランドカウンターになり、チェックイン手続きにタブレット端末を活用するなどしてペーパーレス化を推進しています。」

 ――カスケードルームがあった箇所に新棟『カスケード・ウイング』を新築した。
 溝田「カスケードルームは大正9年竣工の宴会場です。今回、これをカスケード・ウイングの3階に移設・復原し、レストランのみならず宴会場として営業してまいります。」
 溝田「新棟1階には厨房を設け、ホテルのセントラルキッチンとして機能しております。最新の設備機器を揃え、動線や温度・湿度管理、給排水なども含めて、安全で衛生管理に優れた施設を完備しました。」
 溝田「この厨房は、まさに本プロジェクトの趣旨である『安全性能の向上』を象徴する施設です。『食』は富士屋ホテルに欠かせない代表的なコンテンツの一つ。受け継いできた味や技術の継承に努めつつも、今回の新施設で最新の衛生基準に適合した環境が整い、何より従業員の安全確保が図られます。これが、ひいては『食の安全』に繋がると考えています。」

 ――カスケードルームは披露宴会場としても人気が高かった。
 溝田「受注状況によって対応しますが、今後は新設の宴会場『ヘンリーズ・ルーム』や『旧御用邸 菊華荘』を中心に、10名から40名規模の披露宴に力を入れてまいります。」
 溝田「当ホテルは、婚礼は首都圏在住カップルのSPAリゾートウエディングに、宴会は在京の大手企業や外資系企業のエグゼクティブミーティングなどに使われることが多くあります。特に婚礼は家族・親族や友人との結びつきを重視するカップルに支持され、改修中も多数の問合せを頂きました。」

 ――再開業のタイミングがコロナ禍と重なってしまった。
 溝田「再開業直後に実施予定だった婚礼については、新郎新婦の意向を踏まえて延期に。新規客の受注も受け付けていますが、改修前に比べて成約日から実施日までのリードタイムが長くなり、情勢が落ち着くのを待ちたいという意向を反映しているようです。」
 溝田「今は海外リゾートなど、当初予定していたウエディングが叶わないカップルも多いかと思います。そういう方たちに私たちが寄り添えられれば、とも考えています。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、10月21日号)