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【業界の旗手vol.48】アメリカの最新トレンドはエレガント(全米ブライダルコンサルタント協会  President David M. Wood氏)

【業界の旗手vol.48】アメリカの最新トレンドはエレガント(全米ブライダルコンサルタント協会  President David M. Wood氏)

ブライダルプランナーの資格認定や、プランナー向けのセミナーなどを行う全米ブライダルコンサルタント協会(ABC協会/日本支部:東京都中央区)は、現在世界約40ヶ国、約7000名が加盟。日本国内においてはおよそ1000名の認定協会員が在籍している。ウエディングの最先端でもあるアメリカに本部を置く同協会。米国内での最新トレンドや、日本の婚礼業界のこれからなど、PresidentのDavid M. Wood氏に話を聞いた。

SNSを使いこなす20代

――アメリカ国内のブライダル業界の動きは、今どのようにな
っているのでしょう。
「日本以上にインスタグラムが、ブライダルを語る上でなくてはならないものになっています。日本の20代よりも圧倒的にアメリカの20代
の方が、SNSを使いこなしていて、新郎新婦は当然、インスタ映えするデコレーションを好むわけです。自身の満足度アップもそうですが、写真映えする結婚式は、ゲストが素敵な写真を残せるようにするため。例えばエンターテイナーを呼んだり、壁一面を花で埋め尽くすフラワーウ
ォールを用意したり。人気の演出となっています。」
――米国内でのトレンドは。
「日本はナチュラル系が引き続き根強い人気となっていますが、アメリカでは“エレガント”がキーワード。『ダウントン・アビー』というドラマが人気を博しており、舞台は1920年前後のイギリス。その中で描かれる食事風景などを真似たいと、高貴な印象から影響を受けているカップルも多いです。例えば円卓ではなく、テーブルは流しスタイルにして中世ヨーロッパ貴族の晩餐会のように。トレンドを知ることはとても大事ですが、“なぜ”人気なのかの理由を理解することが重要。『人気だからこの装飾をおすすめします』という単純な提案からは、結果、インスタや雑誌などに載っている写真の装飾をコピーするだけになる。流行の理由を基に、新たなデコレーションが生まれ、クリエイティビティーに
繋がってきます。私たちは日本国内でもセミナーを開催していますが、ただ単にアメリカの最新トレンドを伝えるだけでなく、流行の発端から解説するようにしています。」
――アメリカ国内では、プランナーに関するある問題が浮上しているそうですが。
「ウエディングプランナーになるには、運転免許証のような資格はありません。言ってしまえば“誰でも”なれる職業なので、本当にスキルがあるプランナーかを見極めることが、新郎新婦にとって重要です。先述のように、米国内でもインスタグラムが後押しして、特に若いカップルはデザインを重視する傾向が見られます。ここで問題になるのが、『魅せる』プロモーションが上手いプランナー。簡単に装飾したものを上手くネットで見せることで、表面上はスキルのあるプランナーに見えるのですが、いざ担当をお願いしたら実績がほぼないというケースが聞かれています。」
「日本では、カップルはまず会場を選び、そこで働くプランナー1名がアサインされるわけですが、アメリカはプランナー探しから始まり、開催場所も比較的自由。ガーデンなど、本来ウエディング用ではないスペースで行うことも多いため、動線も結婚式仕様で作られていません。会場を作り上げるデザインスキルはマストですが、本番はどのように動くかなどの細かな調整がしっかり出来なければ、プロのプランナーとは言えないでしょう。だからこそABC協会の認定が活きてくる。協会バッジを見せることで、知識があるという、プロの証明ができるわけですから。」
宗教観を理解する
――その他に必要とされる知識はありますか。
「日本と大きく違うのは、様々な宗教観を理解する必要性です。しばしばアメリカは『人種のるつぼ』と言われることも。これは米国だけの話ではないのですが、キリスト教と一言で言っても、カトリックもあればプロテスタントもありますし、仏教、イスラム教など、いくつも
の宗教が混在しています。特にニューヨークなどの大都市は、それぞれの教えや規則、食事制限などを基礎知識として持っておく必要があるかと。宗教色を排除したリーガルウエディングに対応できるかも、海外では大事なスキルの1つです。」
――日本国内のブライダルマーケットは、少子化やなし婚層の増加
に伴い縮小傾向にあります。アメリカはどのように業界を盛り上げてい
るのでしょうか。
「アメリカでは1995年頃から離婚・再婚が増えてきて、米国内で挙げられている結婚式のうち、現在は約50%がどちらか一方が再婚、または2人とも再婚と言われています。言うまでもありませんが、この層が大きいマーケットになっている。日本では、現在3~4組に1組が離婚すると言われていますが、まだまだ再婚者が結婚式を盛大に挙げることは少ないかと。結婚はおめでたいことですから、初婚や再婚に関わらず、家族になる瞬間をもっとお祝いできる環境を、各企業を始め、社会的に作っていく必要性を感じています。」
「また、日本でもLGBTという単語が少しずつ定着してきていて、その層に向けた婚礼サービスも始まってきています。一方で、『LGBTカップルの受注を進めたいが、ノウハウが分からない』という声もあるでしょう。先述の再婚カップルのように、ウエディング文化が根強いアメリカの婚礼マーケットから、LGBTの最新情報も得られるはずです。どのような対応が必要なのか、どんな演出が喜ばれるのか。世界規模のネットワークを活用し、ABC協会はアメリカをはじめとした、アジアやヨーロッパ各国の情報を蓄積。セミナーや会報誌などを通じ、会員へ提供しています。世界の婚礼先進国を参考にし、LGBTのような比較的新しいニーズなどをより発展させられれば、日本のブライダル業界は活発になり、よりよいものになっていくはずです。」