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【トップランナー】式全体を俯瞰して見るスキルがマスト(オフィース・マリアージュ 代表取締役 安部トシ子氏)

【トップランナー】式全体を俯瞰して見るスキルがマスト(オフィース・マリアージュ 代表取締役 安部トシ子氏)

新郎新婦の想いを汲み取り、内容を組み立てていく人前結婚式。人前式の先駆者とも言えるオフィース・マリアージュ(東京都港区)の代表取締役・安部トシ子氏は、「式のスタイルには関わらず、結婚式は儀式」と力説する。人前式はどのようにあるべきか。安部氏がブライダル産業フェアセミナーにて、ポイントを語った。

様々な結婚式のスタイルの中の1 つ「人前式」と一言でまとめても、種類は大きく2つあるという。
「宗教色をなくし、カップルごとに内容を変えていく人前式。細かく種類をみていくと、1つ目がフォーマットに沿って、“穴埋め”をしていくものです。一定の流れの台本の中で、新郎新婦の名前や挙式日など、固有名詞部分を変えていくパターンです。」
「もう1つが、白紙の状態から式を作り込んでいくスタイル。ある式場の人前式を見せてもらったことがあるのですが、その式では、親からの作文が披露されていました。プランナーから両親へ、一筆書いてほしいとお願いするわけですが、『忙しいから時間がない』と最初は断られたりするわけです。それに対し、『一生忘れられない結婚式にしたいので、思い出を文章にしてくれませんか?』と懇願する。想いが伝わった結果、親からの作文の中には、幼少期に体調を崩した思い出などが綴られていました。
こうしたエピソードを引き出すことで、親族達が、『そんなこともあったよね。懐かしいね』と昔を思い出し、心が1つになるのです。新郎のお母さんからは、『うちの息子と一緒になってくれて本当に嬉しい!』といった言葉が新婦にかけられる。こうした心温まる人前式は、音楽や司会者がいらないほど、といっても過言ではないでしょう。」
結婚式と披露パーティ、この2つを混同させてしまわないようにと安部氏は警鐘を促す。
「『結婚式に参列する』というように、式と披露パーティをひとまとめにするケースも多いですが、この2つは全くの別物。主役がそれぞれ異なることを理解する必要があります。結婚式の主役は誓いをたてる新郎新婦。一方で、披露宴やパーティはその場に集った列席者がメインになるわけです。パーティでは、おもいっきり楽しめる演出を盛り込むのもいいでしょう。ですが、結婚式はあくまでも儀式。厳粛であるべきなのです。人前式の内容はカップルごとに異なり本当に幅広いのですが、だからといって好きなことがなんでも出来るというわけではありません。」
「実際に新郎から提案された話を1 つ紹介しましょう。新郎は双子で、式本番中に、兄弟をスイッチさせて登場するサプライズがしたいとのリクエストが本人から挙がったのです。果たしてこの演出は、儀式でやるべきことなのでしょうか。『お客様がやりたいと言っています』というのは、ただの“逃げ道”。新郎新婦がどれだけ人前式に参列した経験があるのか、どれだけ人前式の良さを分かっているのかを、今一度立ち止まって考えてみてください。新郎新婦は、入場部分はこうしたい、誓いの言葉はこうしたいというように、部分ごとに挙式を組み立てていきます。二つ返事でその通りに人前式をプロデュースしてしまうと、思っていたのと違ったという不満を抱かれてしまうことも。いい人前式を創り出すには、私たちプランナーに、式全体を俯瞰して見るスキルが重要です。」